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E U 国 際 私 法 の 概 要 Pic


目 次


 はじめに
  
  I. アムステルダム条約発効前のEU抵触法
 
 II. アムステルダム条約発効後のEU抵触法

   1.EUの権限

   2. 立法手続

   3. イギリス、アイルランドおよびデンマークに関する特例

   4. EU第2次法
         (1) Rome I 規則
         (2) Rome II 規則
         (3) Rome III 規則

 III. ECJの判例法(基本的自由について)
  
 おわりに




はじめに

 EUは加盟国の市場統合を究極の目的とし、国境を越えた人々の移動や経済活動を奨励している。それゆえ、欧州統合と渉外事件の発生は不可分の関係にあるが、渉外的私法関係の解決に重要な抵触法がEUレベルで整備されるようになったのは、比較的最近のことである。つまり、EU独自の最初の法令(いわゆる Rome II規則)が制定されたのは2007年7月のことである。もっとも、これを皮切りに一連の規則が制定されるにいたり、EU国際私法は急速な発展を遂げている。

 このような法の発展の背景には、1999年5月に発効した アムステルダム条約 によって、EUの権限(国内抵触法を統一する権限)が明確に定められるようになったことが挙げられる。従来より、EU抵触法は、この条約の発効の前と後に分けて説明されるのが一般的であるため、本稿でもこれに倣うことにする。なお、EU抵触法と加盟国抵触法の関係については、ドイツ国際私法典(EGBGB)を参照する。