(3) ところで、石炭・鉄鋼共同体には、エネルギー政策を実施する権限が与えられていたが、ECにはそのような権限は与えられていない。ECは与えられた権限しか行使しえないことを考慮すると(個別的授権の原則)、ECによるエネルギー政策の実施には問題が生じる。もっとも、EC条約第3条第u号は、エネルギー政策の実施をECの活動の一つに挙げている。従って、ECは、条約内のその他の政策に関する規定を適用して、エネルギー政策を遂行することができる。例えば、通商政策に関する規定を適用して、エネルギー源の輸入を統制したり(輸入関税を決定することを含む)、また「商品またはサーヴィスの移動の自由」にかんする規定を適用して、ある加盟国で産出されたエネルギーを他の加盟国においても自由に流通しうるような措置を講じることができる。
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