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設 例 1

 Aはドイツ国内に本拠を置く輸入業者であり、従来は、中南米諸国からバナナを自由に輸入してきたが、EU理事会は、1993年2月、中南米産バナナに高い関税をかけ、また、輸入数量を大幅に制限する旨の規則を採択し、同規則は1993年7月に発効した。そのため、Aの輸入量は大幅に落ち込み、倒産の危険性さえ生じてきた。そこで、AはEU裁判所へ訴えを提起し、権利保護を求めることを考えた。Aから助言を求められ場合には、どのようにアドバイスしてあげればよいか。以下の点について検討しなさい。

この規則は何を目的として制定されたか。 また、この規則が制定されなかったとすれば、EU(当時のEEC)制度上、どのような問題が生じたか。
 
この規則は1993年2月に制定されているが、EU法上、この時期にはどのような意味があるか。
 
この規則は、EUの機能に関する条約(当時はEEC条約)内の農業政策に関する規定を根拠にし制定されているが、バナナの輸入について定めるものであるため、農業政策に関する規定ではなく、通商政策に関する規定を根拠にすべきか。
 
Aの見解によると、理事会は欧州議会の意見を聞かずに、本件規則を制定したため、同規則は無効であるが、これは正しいか。

参照 ヒント
 
同規則が執行された結果、Aは倒産の危機に直面しているため、EU裁判所に訴えを提起して、保護を求めることができるか。
  
上記規則の違法性を裏付ける事由としては、その他にどのような点を指摘することができるか。

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