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 W T O 枠 組 み 合 意 成 立

 

 2004年7月31日、ジュネーブで開かれていたWTO閣僚理事会は、ドーハ開発アジェンダ (Doha Development Agenda) が定める半数の事項について合意し、いわゆる "Oshima Text" を採択した。昨年9月、メキシコのカンクンで開かれた閣僚理事会は決裂し、新ラウンドは停滞していたが(参照)、今回の基本合意に照らし、WTO加盟国は、さらに協議を詰めることになる。採択された文書は、主に、@農業、A工業製品、B後進国の発展に関する問題、C貿易の円滑化、Dサービスを対象にしているが、関税率など、具体的な数値は盛り込まれていらず、今後の課題も大きい。


 会合に出席していた欧州委員会の Lamy 委員は、確かに、カンクンでの交渉は決裂したが、新ラウンドは生きていると述べる一方で、目標はまだ半分しか達成しておらず、新ラウンドを迅速に終結させる必要性を指摘している。また、5月に各国に送付した書簡(参照)について触れ、ヨーロッパ諸国が団結すれば、世界各国(特に、発展途上国)に大きな利益を与えうると評価している。

Lamy 欧州委員

Lamy 欧州委員

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 また、農業政策担当の Fishler 欧州委員は、今回の合意は貧しい国に貿易の機会をより多く与えており、他の先進国もEUの方針に従うことを明確にしているとする一方で、EU内の農家にとっても方針が明瞭に示されることになったと述べている。なお、今回の合意に基づき、EUの農業政策に改正されるべき点はないとされる。

Fischler 欧州委員

Fischler 欧州委員

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リストマーク 基本合意(枠組み合意)の主な内容

 農産物貿易
 今回、採択された枠組み合意は、ウルグアイ・ラウンドの合意よりも、さらに徹底して農産物貿易の自由化を推し進める形となっている。具体的には、自由貿易の阻害要因とされる農業支援や輸出補助を大幅に切り詰め、また、国内市場の大幅な開放について合意されている。他方、発展途上国は、長期間にわたり、このような措置を講じる必要はない。さらに、最も発展の遅れた50の国には、全く義務が課されない。これらは、現在のEUの農業政策の方針に合致している。

 
 発展途上国の発展援助
 枠組み合意は、発展途上国のための特別優遇制度を強化すべきとしている。また、これらの国の貿易を支援する政策の発展を評価する一方で、その改善・強化の必要性を確認している




 
  参照
リストマーク EUの公式ホームページ


写真提供 Audiovisual Library European Commission



(2004年8月2日記)