ドイツの国内政治と欧州議会選挙 |
4期16年(1982〜1998年)継続した Helmut Kohl 政権に終止符を打ち、変革の必要性を国民に訴えた SPD (ドイツ社会民主党)は、1998年9月の連邦議会選挙で勝利を収めたが、10か月後の欧州議会選挙では、辛酸を嘗めざるを得なかった。主な敗因としては、租税・経済政策に対する国民の不満を挙げることができる。
1999年の欧州議会選挙の結果
2004年の欧州議会選挙の結果
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その後も、与党は苦境に立たされていたが、天災への迅速な対応や、イラク戦争への反対が評価され、SPD は、2002年9月の連邦議会選挙でも、かろうじて勝利を収めた。しかし、社会政策に対する国民の不満は強く、地方選挙では大敗を喫している。欧州議会選挙の直前に実施された連邦大統領選挙でも、野党の CDU・CSU に敗北した。今回の欧州議会選挙でもこの傾向は続くものと考えられ、野党 CDU ・CSUは、政権交代を訴えている。つまり、欧州議会選挙では、EUに関する問題よりも、国内の政治問題が主たる争点となっている。
欧州議会選挙のテーマ
2004年6月の欧州議会選挙において、政権政党の SPD (ドイツ社会民主党)は、当初の予想を上回る歴史的敗北を喫した。21.5%という得票率は、全国レベルではかつてなかった低水準であるが、これは、特に、雇用政策、年金改革、また、健康保険制度改革など、本来、本領を発揮すべき社会政策の分野で国民の支持が得られなかったことを反映している。
イラク戦争で米国の路線を支持したり、トルコのEU加盟に反対している保守政党(CDU・CSU)も議席を失ったが、前回の高得票率(48.7%)や、SPD の2倍強の得票率考慮すると、勝者として捉えることができる(得票率は44.5%)。
SPD と連立し、政権政党の座にある「緑の党」は、欧州議会選挙に本腰を入れた数少ない政党の一つであるが、そのことのみならず、外交政策一般に対する高い評価を基盤に前回よりも得票率を伸ばした。なお、Fischer
(フィッシャー)外相は、この政党に所属しており、ドイツでもっとも評判のよい政治家である。
選挙結果について (ZDF) 欧州議会
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