公 共 調 達 の 分 野 に お け る 環 境 保 護 |
2004年8月、欧州委員会は公共調達に関するハンドブック “Buying green: how
public authorities can help save the environment and taxpayer’s money”
(全38頁)を公表した。その重点は環境保護に当てられており、公共調達に際し、加盟国の中央政府や地方公共団体が環境保護の観点から注意しなければならない点が説明されている。また、公共調達に関するEC法、欧州委員会の実務、また、EC裁判所の判例法などが網羅されている。
最近の調査によると、従来のEU加盟15か国では、わずか19%の公的機関しか公共調達に際し環境保護を十分に考慮していないとされる。その主たる要因は、知識の欠缺や財政上の制約(環境にやさしい製品やサービスは割高である)にあるとされるが、今回、公刊されたハンドブックは、このような状況の克服を目的としている。
(参照) |
ハンドブック “Buying green: how public authorities can help save the environment and
taxpayer’s money”
欧州委員会のプレス・リリース
|
[基礎知識] 公共調達に関する国内市場の自由化
政府や公的機関による物品やサービスの購入、建設工事の発注など、公共調達は、EUのGDPの約16%を占め、金額にすれば、1兆5000億ユーロにあたる(2002年の統計)。他の加盟国の企業にも参入を認めれば、域内市場における競争が高まり、価格の下落が見込まれる。そのため、域内市場政策の一環として、ECは、指令を制定し、国内制度を調整している。主な根拠条文は、EC条約第47条第2項、第55条、第95条であるが、域内市場政策(ここでは、公共調達部門)の分野においても、環境保護が考慮されなければいけないことは、第6条でも定められている(参照 Case C-513/99 Concordia Bus [2002] ECJ I-7251)。
公共調達に関するEC法は、特に、発注手続の透明性の向上や外国企業の平等的扱いを柱しているが、軍事備品などは対象外である。なお、公共調達に関しては、国際条約(例えば、WTO諸協定)も適用される。
|
|
|