2008年11月26日、チェコの憲法裁判所は、リスボン条約批准の合憲性を確認しているが(参照)、2009年10月、17人の上院議員の申立てに基づき、再び審査することになった。申立人らは、約11ヶ月前に下された判決では、自国の主権に重大に関わる事項についてのみ判示されており、リスボン条約全体が審査の対象になっているわけではないと述べている。
10月27日、第1回目の口頭弁論が開かれた。申立人らは、Pavel Rychetsky 長官が同年9月、ドイツ大使と面会しているが、その際、リスボン条約もテーマになったとし、長官の忌避をについて申し立てているが、大法廷によって却下された。
当初は公判初日に判断が示されることも想定されたが、審理は少なくとも1週間は係属するとみられている。
2009年11月3日、憲法裁判所は、リスボン条約の批准の合憲性を15名の裁判官の全会一致で確認した。特に、新EU条約による国家主権の侵害については、現代的な民主国家において、主権はそれ自体が目的ではなく、民主的な法治国家形成の柱となる基本的な価値を実現するための手段であるとし、リスボン条約に基づくEUへの主権委譲は憲法に反しないとした(参照)。また、それゆえ、チェコ大統領は速やかに批准書に署名する義務を負うと述べた。
なお、この判断に先立ち、申立人らは、三度、法廷論争に持ち込む意志はないと述べていた。しかし、判決後、同人らは、公正な裁判を受ける権利が侵害されたとし、欧州人権裁判所に提訴する意向を表明している(参照)。
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