2009年のEU加盟へ向け、クロアチアは制度改革を推進しているが、近時のアンケート調査によれば、EU加盟に対する国民の支持率は43%に過ぎず、反対派(48.9%)がこれを上回っている。もっとも、Gotovina 元将軍の逮捕・国連旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所への引渡しが再三要請され、加盟交渉の開始が先送りされていた2005年の36%に比べると、支持率は回復しているとされる(参照)。EU加盟が熱狂的に支持されない理由の一つに、主権の委譲に消極的であることが挙げられる。つまり、クロアチアは、1991年に旧ユーゴスラビア連邦から独立したが、EU加盟によって、再び巨大な支配体制に飲み込まれるのではないか懸念する国民が少なくないとされる。なお、同様の状況は、モスクワの支配から解放された後にEU加盟を達成したエストニアでも見られた(参照)。 他方、クロアチア政府は、EU加盟がもたらす経済的利点を重視している。2005年は4.1%という高い経済成長率を記録したが、1991年に戦争が開始された当時の水準には達していないとされる(参照)。 なお、経済成長は雇用の創出に直結していない。また、賃金水準が伸び悩む一方(平均で約600ユーロ)、多くの製品の価格は、EU並みに上がっているとされる。これらは国民のEU支持率を下げかねないため、政府は大規模な広報活動を展開している。なお、EU加盟を正式に決定するに先立ち、国民投票が実施される予定である。
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(参照) |
Die Presse v. 4.
Juli 2006 (Angst
um Kroatiens Stolz) Der Standard v. 5. Juli 2006 (Optimismus und Skepsis in Kroatien)
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