Pro (賛成派)
◎ Centre for European Reform
フランスとオランダの国民投票で、欧州憲法条約の批准が否決されて以来(参照)、トルコのEU加盟反対論が勢力を増しているが(参照)、2005年9月、イギリスの研究調査機関 Center for European Reform は、この流れとは逆に、トルコのEU加盟を支持する報告書を発表した(参照)。執筆したのは、同研究所 chief econoimst の Katinka Barysch、Heather Grabbe および Steven
Everts であるが、トルコの加盟は、EUにとって、むしろ良い効果をもたらすと述べている。
また、イスラム文化圏に属する国の加盟によって、EUのアイデンティーは失われるとする批判に対しては、東方拡大 によって、EUはすでに多様化しており、従来のような一元的な「キリスト教クラブ」ではないとしている。また、トルコの加盟は、この流れを強めるだけではなく、EUの制度改革を助長する効果があると捉えている。
さらに、トルコの加盟は、EUの外交・安全保障政策を強化すると共に、低成長や高齢化の時代を迎えつつあるEUによい刺激になるとしている。また、トルコのEU加盟は早くても10〜15年先のことであるので、現時点における経済力の弱さ(EU平均の30パーセント、なお、ポーランドの10年前の経済力は、35パーセントであった)を強調すべきでないこと、また、懸念されている労働者の大量移入は実際には生じないと述べている。そして、トルコの受入れには、EU自身の改革も不可欠であり、それが達成されないのであれば、EUの(経済)発展は鈍化し、魅力的ではなくなるため、トルコもEU加盟を希望しないであろうと分析している。
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