CDU・CSUの首相候補 Angela Merkel (写真右)は、旧東ドイツ出身ということもあり、米国寄りの外交政策を標榜してきたが、Merkel
の強力な指導の下、政権交代が実現していたとすれば、中東欧諸国(新規加盟国)をも巻き込み、EUはアメリカとの関係を強化することになっとも解される。
また、トルコのEU加盟問題 についても、大幅な軌道修正を迫られることになっていたであろう。かねてより、保守系の CDU・CSU は、イスラム文化圏に属する国のEU加盟に反対の立場を明確に表明してきた(参照)。なお、かつて、CDU は、外国人問題を選挙テーマにし、勝利を収めたこともあるが、今回の総選挙では、特に触れられていなかった。
9月20日現在、次期政権のゆくえは、まだ霧の中であるが、EU内におけるドイツの指導的役割を重視し、欧州委員会の Barroso 委員長は、政権の早期発足の必要性を訴えている。同委員長は、6月の首脳会議でまとまらかなった EU次期財政計画 の年度内作成を目指しているが、そのためには、ドイツの国内政治が早期に軌道に乗る必要がある(参照)。しかし、刷新的な新政権が誕生しないとすれば、EUの政策発展は滞ることになろう。
|
Angela Merkel (CSU)
Merkel が首相に選ばれれば、ドイツ発の女性首相の誕生となるが、欧州委員会の Kroes 委員(競争政策担当)は、Merkel が
同じく女性であることを理由に支持すると述べているが、これは、加盟国政治への干渉ないし選挙の中立性を害するとして批判されている(参照)。 |
Gerhard Schröder
現首相 (SPD)
総選挙では、CDU・CSU に僅差で敗れたが、個人的な支持率は、Merkel 氏よりも高い。 |
|