政策の目的・措置
共通外交・安全保障政策の目的は以下の通りである(EU条約第11条第1項)。
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国連憲章の原則に照らし、EUの共通の価値、基本的利益、独立性と完全性(integrity)を維持すること
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あらゆる方法によって、EUの安全性を強化すること
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国連憲章の原則、ヘルシンキ最終決議の原則、また、パリ憲章の目的に沿って平和を維持し、また、国際安全を強化すること
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国際協力の促進
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民主主義、法の支配、また、基本的自由の尊重の発展と強化 |
これらの目的を実現するため、EUは以下の措置を講じることができる(EU条約第12条)。
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共通・外交保障政策の原則および一般方針の決定 (第13条第1項)
政策の一般方針は、欧州理事会 ( 参照) の全会一致によって決定される。この一般方針に基づき、EU理事会は、政策の実施に必要な決定を行う(第13条第3項)。
(例) ユーゴスラビアに対する制裁
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共通計画 (common strategies) の決定 (第13条第2項参照)
加盟国に共通の重要問題が存在し、EUによって対策が講じられるべき場合には、欧州理事会によって、この措置が講じられる
(第13条第2項)。EU理事会はその採択を欧州理事会に勧告する(同第3項)。
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共通の行動の採択 (第14条参照)
EUの行動が必要と解される特別な状況において、EU理事会は、この措置を全会一致で決定することができ(第14条第1項、第23条第1項参照)、加盟国はこれに拘束される(第3項)。
(例) ボスニアへのEU警察特使の派遣
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共通の立場の採択 (第15条参照)
この措置によって、特定の問題に対するEUの立場が定められるが、EU理事会によって全会一致で発せられる。
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加盟国間の定期的協力制度の整備 (第16条参照)
EUの行動を統一し、その影響を可能な限り効果的にするため、加盟国は、EU理事会において、外交・安産保障政策に関する見解を交換し合う。
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EU理事会の措置は、全会一致にて発せられるが(第23条第1項)、以下の場合には、特定多数決
( 参照) にて講じることがでくる。
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共通計画に基づき、共通の行動や共通の立場が採択される場合
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共通の行動や共通の見解を実施するため決定を下す場合
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第18条第5項の規定に従い、特命大使を任命する場合
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したがって、共通・外交保障政策の原則および一般方針、共通計画や共通行動の採択には、欧州理事会またはEU理事会の全会一致を必要とする。
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