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EUの環境政策
 

企業による自動車排出ガスの自主規制



 EU内で排出される二酸化炭素の約20%は、道路交通に基づいているとされている。そのため、京都議定書 を遵守するだけではなく、環境保護をより効果的にする観点から、欧州委員会は、自動車の排出ガスに対する規制強化に取り組んでいる。すでに1990年代より、EU内の自動車製造メーカーには、2008年までに新車の二酸化炭素排出量を1キロ・メートルあたり140グラムに削減し、さらに2012年までに120グラムの水準にまで下げることが要請されている車。もっとも、これは、メーカーの自主規制に委ねれており、これまで良い成果が得られていないため(現時点では、約160グラム
)、欧州委員会は、2007年2月7日、その見直しを発表した。それによると、遅くとも2008年中旬までに、前掲の排出ガス水準目標を達成するために必要な法的枠組みを提案するとされている(詳しくは こちら)。

 なお、EC企業の取り組みが不十分であるため、トヨタ車に乗り換える欧州委員やトヨタ車の購入を奨励する政治家も出ており、波紋を広げている(参照)。





 New 2007年12月、欧州委員会は、現状の1キロ・メートルあたり、約160グラムの二酸化炭素排出量を、2012年までに130グラムに減らすことを自動車メーカーに義務付ける法案を提出した。あるメーカーの新車の平均排出量が130グラムを超える場合、超過1グラムにつき、20ユーロの制裁が科され、メーカーはそれを車台数分払わなければならない。また、上掲の制裁額は、2013年は35ユーロ、2014年は60ユーロ、2015年は90ユーロと増加することになっている。なお、制裁金はEU(EC)の財源となる。技術開発によって制裁額の膨張は避けられると欧州委員会は捉えているが、ドイツの自動車メーカーは、特に、高級車の値段は大幅に上昇し、不利益は消費者に回ってくると批判している。

 欧州委員会の提案が法令として施行されるには、EU理事会と欧州議会によって採択される必要がある。





(参照) EUの環境政策

(2007年2月20日 記  2008年4月7日 更新)