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EUの環境政策
 

外 付 け ア ダ プ タ ー の 消 費 電 力 規 制


 パソコンや電話といった電気製品の外付けアダプターは、製品を起動しているときだではなく、休止・待機中にも電力を消費する。休止中の電力消費量は、EU内で年間に17トンWh にも達しているが(二酸化炭素の排出量は680万トン)、現在の傾向が続けば、2020年の電力消費量は31Wh にまで増加すると想定される。EUは、2020年までに総電力消費量を、1990年比で20%削減することを目標に掲げているが(詳しくは こちら)、その実現には外付けアダプターの規制も不可欠であるため、2009年4月6日、新しい規則(Regulation (EC) No 278/2009, OJ L 93, 3)が欧州委員会によって制定された。

 新規則は、2段階に分けて外付けアダプターの消費電力を規制しているが、第1附属書(Annex 1)によれば、規則発効の1年後(つまり、2010年)より、製品休止中の電力消費量は 0.50W を超えてはならない。また、規則発効の2年後(2011年)より、一部のアダプターについては、上限が0.30W に引き下げられる。なお、規則は、待機電力量だけではなく、製品起動時の消費電力量についても定めている。これらの規制によって、EU内の外付けアダプターによる電力使用量は、2020年までに3分の1の水準に削減することができると考えられている(参照)。

  規則は、2005年に欧州議会とEU理事会が共同で制定した、いわゆる「エコデザイン指令」(Directive 2005/32/EC, OJ L 191, 29)を実施するため、同指令第15条第1項および第16条に基づき制定されているが、環境政策やエネルギー政策ではなく、域内市場政策として位置づけられている。また、電力消費量を規制するため、委員会は、すでに、白熱電球などの家庭用電灯の規制についても規則を制定している(詳しくは こちら)。



(参照) EUの環境政策

欧州委員会の公式サイト (規則について)

欧州委員会の公式サイト (eco-design について)


(2009年 7月 14日 記)