2005年3月25日、トルコ政府は、従来のトルコ・EC間の 関税同盟 をキプロスにも拡大するための議定書の文面について、欧州委員会と合意したと発表した。ECは関税同盟を基礎としており、加盟国間では関税同盟が設立されているが（参照）、非加盟国であるトルコとの間にも、すでに1963年に関税同盟が設けられている。2004年5月、キプロスのEU加盟が実現したため、EC・トルコ間の関税同盟は、キプロスにも拡大されなければならない。その前提として、トルコはキプロスを独立国家として承認しなければならないため、従来、アンカラ政府はこれを拒否してきたが、2004年12月の欧州理事会は、関税同盟の拡大をトルコのEU加盟の条件の一つに挙げ、その充足を加盟申請国に要請している（詳しくは こちら）。

　なお、トルコ側の対応が遅れていたため、2005年3月には、同国のEU加盟を支持する社会党系の政治家の中からも批判が出ていた。

　欧州委員会との間で合意がまとまったとされる議定書（キプロスへの関税同盟の拡大に関する議定書）は、今後、トルコの国会で審議されることになるが、キプロスの承認に反対する見解も根強いため、議定書の制定が承認されるかどうかは定かではない。