欧州委員会は、人口構造の変化を「挑戦かつチャンス」と捉えている。少子・高齢化が「挑戦」にあたることに異論はないが、「チャンス」という見方はどのような考えに基づいているか。
第1に、戦後のベビーブーム世代は、文字通り「古鉄」と化しているわけではなく、大きな可能性を秘めている。団塊世代の中には、何百万人もの高学歴者がおり、また、その大半はまだまだ健康であるため、これらの者が積極的に労働市場や市民生活に関与すれば、今後、20年間の人口問題にはうまく対処しうる。
第2に、高齢者の購買力は大きなポテンシャルを秘めている。老人の需要にみあった商品が次々と開発されれば、新しい市場(「シルバー市場」)に発展すると解されるが、高齢人口は何もヨーロッパ内でのみ増加しているわけではないため、輸出の機会も増大する。高齢化は、他のどの地域よりも、ヨーロッパにおいて始まっているため、状況に適切に対処すれば、EU企業は優位に立てよう。
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