2019年5月の欧州議会選挙



  2019年5月23~26日、欧州議会選挙が行われた。

 開票前は極右政党ないしポピュリスト政党の躍進が危惧されたが、想定を下回った。最も多くの議席を獲得したのは、各加盟国の保守系政党で構成される欧州人民党であった。



出展:ニッセイ アセットマネジメント
 
 EU基本条約は、直前の欧州議会選挙で最も多くの議席を獲得した政党グループより、欧州委員会の委員長を選任すると定めている。そのため、次期委員長となるのは、最大党派の筆頭候補である、マンフレッド・ウェーバーとする見方が有力であった。



写真左は、最大グループとなった欧州人民党のマンフレッド・ウェーバー(ドイツ)

1年後のウェーバー氏の写真はこちら

 しかし、EU基本条約は、最大党派に属する者が次期委員長になると定めるのみで、欧州議員の中から選ぶことを求めていない。なお、議員の中から、議会自身が選出するとすれば、加盟国政府が直接、選出することはできなくなる。これに強く反発したのがフランスのマクロン大統領であり、彼の見解が強く反映される形で、加盟国政府は、保守系政治家のウーズラ・フォン デア ライエン(ドイツの国防相で、欧州議員ではない)を次期委員長に指名した。

 (参照)欧州委員会の委員長の選出と欧州議会




 下の動画は欧州議会の指示を得るため、議会で演説するフォン デア ライエン(2019年7月16日)

 747人の欧州議員の内、383人がフォン デア ライエンの委員長就任に賛成票を投じ、就任を了承した。なお、これは委員長候補の選出(承認)に必要な議員の過半数をわずか9票、上回ったに過ぎなかった(参照)。


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