ユーロ導入国の財政赤字規制
EC条約第104条に基づき、ユーロ導入国は、「過剰な」財政赤字を防止する義務が課されている。どの程度の財政不均衡でもって「過剰」とするかどうかは、EC条約内では特定されておらず、EU理事会が決定することになっているが(収斂化基準に関する議定書[マーストリヒト
条約附属第6議定書]第2条参照)、過剰財政赤字の取締手続に関する議定書(マーストリヒト条約附属第5議定書)第1条は、単年度の財政赤字額は国内総生産(GDP)比の3%以下、また、債務残高はGDP比で60%以下にしなければならないと定めている。
ユーロ導入国がこの義務に違反していないかどうかは、欧州委員会によって調査されるが、ある加盟国による義務違反の事実ないしその危険性があると判断されるときは、EU理事会に通告することになっている(EC条約第104条第5項)。これを受け、理事会は、ある国の財政赤字が過剰であるかどうかについて判断し(第6項)、また、必要に応じ、当該加盟国に改善を勧告することができる(第7項)。なお、この段階において、勧告は公表されないが、所定の期間内に必要な措置が取られないときは、理事会はこれを公表することができる(第8項)。それでもなお、財政赤字状態が解消されない場合、理事会は、@ある具体的な措置の実施を命じたり(同第9項)、また、A罰金等を含めた制裁措置を当該加盟国に課すことができる(第11項)。
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