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EU農業市場予測

2003〜2010年



写真提供 Audiovisual Library European Commission



  2004年3月30日、欧州委員会は、
Medium-term prospects for agricultural markets and income in the European Union 2003-2010 と題する報告書を公表した。同報告書では、25カ国体制に発展するEU農業市場の動向について分析されているが、EU拡大後、農地は30%増加し、ほとんどの製品の生産量は10〜20%程度、上昇するものと想定されている。また、穀物、食肉および乳製品市場ともに、 比較的良好な展開が見込まれるとされているが、各市場の動向分析は以下の通りである。

 穀物
 2003年夏は、猛暑に見舞われ、降雨量が少なかったため、生産高は2億3000万トンに減少したが、2004年には、2億7000万トン・レベルまで回復すると予測される。なお、これには、5%の農地の休耕化が考慮されている。2005〜2006年にかけて、休耕率は10%に上昇するが、2009年まで、この措置は、ほとんどの新規加盟国では適用されない。従って、EU全体 でみると生産量は減少せず、2010年には、2億7700万トンに達すると想定される。

 

 2010年までの期間に、小麦の生産量は上昇するのに対し、大麦は 減産が計画されている。とうもろこしも同様に減少するが、新規加盟国では増加すると想定されている。なお、とうもろこしの消費量は増加し、長期的には、 需要が供給を上回ると解されている。
 2003年6月の農業政策改革によって、介入制度が廃止されたライ麦は、現加盟国で生産量が減少するもの の、家畜の飼料としての需要が見込まれる新加盟国では増加すると解される。

 


食肉 
 牛肉の生産量は安定する一方で、豚肉鳥肉は、需要増の傾向を受け、増加するものと考えられる。特に、新加盟国における豚肉の生産量は、2010年までに、15%上昇すると想定される。


乳製品
 バター脱脂粉乳に関しては、EU拡大後、数年間は、 増産状態にあるが、長期的には、特に、現加盟国において、バターの生産量は減少すると想定される。これに対し、チーズの生産量は、農業改革の恩恵を受け、2004年の90万トンから、2010年には、900万トンに激増すると考えられる。


(参考) 欧州委員会の報告書 (英語)

Brüssel aktuell Nr. 07/04 (Infomation der Vertretung des Saarlandes bei der EU), S. 7-8 (独語)

Wolfgang Münch, Perspectives for agricultural markets in the enlarged European Union (pdf)