Top      News   Profile    Topics    EU Law  Impressum          ゼミのページ


マ ド リ ー ド 列 車 同 時 爆 破 テ ロ 事 件


 2004年3月11日、スペインの首都マドリードでは、朝のラッシュ・アワー時に4台の列車がほぼ同時に爆破された。死者の数は191人に達し、負傷者は1500人以上にも及ぶ国内史上、最悪のテロ事件となったが、犯人は、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、シリアやエジプトから合法ないし違法に移住してきた複数の外国人と見られている。犯行には、リュックサックに入れた爆弾が使用されたと目されており(計10個の爆弾が爆破している)、すでに複数の容疑者が逮捕されている。なお、犯行の動機はまだ完全に明らかにされていないが、米国同時多発テロで「殉職」した若者がモデルとなり、また、スペインのイラク戦争への参加に触発されたものと考えられている(参照)。

 事件からわずか3日後に行われた国政選挙において、当時の与党は、イラク戦争への参加とテロ事件への対応の不手際を問われて敗北し、政権交代が実現している。Aznar 首相(当時)やその後任 Rajoy 氏は、アルカイダの犯行を示唆する情報があったにもかかわらず、国内のテロ組織 ETA の犯行によるものと発表していた。

 テロ事件から1年が経過した2005年3月11日、マドリード市内では、爆破時刻の朝7時37分より、650の教会の鐘が鳴り響き、犠牲者に黙祷が捧げられた。また、同日の正午には、「不在者の森」と名づけられた記念公園の除幕式が行われ、スペイン国王夫妻、皇太子夫妻、首相の他、国連のAnnan 事務総長や、アフガニスタンの Karsai 大統領が参列した。その様子は、多くのEU加盟国にもテレビ中継されたが、遺族団体は、静かに親族の冥福を祈るとして、式典への出席を拒否している(一斉に鳴らされた教会の鐘ですら仰々しいと捉えているとされる)(参照)。なお、記念式典には、テロの犠牲者と捜査中に死亡した警察官一人の数に相当する192本のイトスギ(墓地に植えられ、悲しみの象徴とされる)やオリーブが植樹された。

 列車同時爆破テロから1年が経過するのに合わせ、マドリードでは、「テロ・治安・民主主義」に関する国際会議が開かれ、52ヶ国が参加した。3月10日、国連の Annan 事務総長は、5項目からなるテロ対策を発表すると共に、テロ対策について定めた国際条約を早急に締結する必要性を訴えている。


(参照) FAZ v. 08. März 2005 ("Der Schock sitzt noch immer tief")

FAZ v. 09. März 2005 ("Der Irak-Krieg in Madrid")

Die Welt v. 12. März 2005 ("Fünf Minuten Stillstand für die Opfer")

 


(2005年3月13日 記)