Top      News   Profile    Topics    EU Law  Impressum          ゼミのページ


トルコの憲法裁判所、スカーフ着用禁止を復活させる



 公的場所における女性のスカーフ着用について、トルコ内では激しい議論が展開されているが、2008年2月9日、トルコ国会は、従来の禁止措置を改め、大学内での着用を認める法律を制定した。しかし、同年6月5日、トルコ憲法裁判所は、この法律は、トルコ憲法上の政教分離原則に反するため無効であるとし、着用禁止措置を復活させた(トルコ憲法第2条、第4条、第148条参照)。審議に参加した11人の裁判官の内、9人が前掲の国内法は違反と見なしている。

 スカーフ着用の禁止は与党 AKP の主導下で廃止されたが、それに反対する観点から、同党の活動禁止を求める訴えが提起され、現在、憲法裁判所で審議されている(詳しくは こちら)。今回の裁判所の判断は、AKP の活動禁止に関する判断にも影響を及ぼすものと解される。Erdgan 首相(AKP)は、トルコ政府に対する新たな危機が生じたと捉え、党幹部に旅行禁止を命じている(参照)。

 与党 AKP が大学内でのスカーフ着用を認めるに至ったのは、女子学生の教育の自由を保障するためとされているが(着用が禁止されていれば、大学での勉強を断念せざるをえない女性も出てくる)、同党からは、憲法裁判所は立法権を侵害するものであるとの批判が出ている参照)。

 


(参照)

tagesschau.de (AKP wirft Richtern Verfassungsbruch vor)  


「トルコのEU加盟問題」のトップページに戻る



(2008年 6月 6日 記)