また、単一欧州議定書により、環境保全がECの目標の一つに付け加えられたが(EC条約第174条第2項)、これもまた農業政策の目標の一つに属する。
これらの目標が相矛盾しうることは明らかであろう。特に、農家の所得の増大(b)と、消費者価格をなるべく安くすること(e)
は相反する。複数の目標を同時に達成することが困難ないし不可能な場合、ECの政策決定機関は、ある特定の目標を優先させることができるが、この政治的な判断が適切かどうかについて、EC裁判所は審査していない。また、EC条約第34条第2項第2文は、共同体内の農産物生産者と消費者とを何ら差別してはならない旨を定めるが、必要な場合には前者を優遇することができる(EC裁判所判例同旨)。
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EC条約第39条第a号は、技術進歩の促進、農業生産の合理的発展および生産要素、特に労働力の最適な利用によって、農業生産性を向上させることを目標としている。
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See e.g. Jointed
Cases 56-60/74, Kampffmeyer and others v
Commission and Council [1976] ECR 711
(714).
なお、この点に関する委員会案について、入稲福・前掲論文109頁を参照されたい。
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Case
C-280/93,
Germany v. Council [1994] ECR I-5039, paras. 66 et seq. |
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