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夏時間 Summer Time

 
〔問題〕以下の文章を読み、空欄に適語を入れなさい。

 現在、我が国では夏時間の導入が検討されている。それが導入されると、夏季は時計の針が1時間進められることになるため、例えば、午後7時は( A )になる。そうすると、通常の時間では、もう日が沈んでいる時間帯でも、まだ明るいため、屋外でスポーツや散歩を楽しむことができるようになる。

 一般に、ヨーロッパ諸国は我が国よりも( B )に位置している。都市で比較するならば、我が国の最北端である稚内市と緯度がほぼ同じなのはイタリアの( C )である。フランスの首都パリ、ドイツの首都( D )はさらに( E  )に位置する。なお、東京は北緯35度にあるが、それよりも( F )にあるヨーロッパの都市はない。





 夏季、北方では南方よりも日の出が早くなる一方で、日の入りが遅くなるが、北極圏では1日中、日が沈まない「白夜」を体験することができる。ヨーロッパであれば、(  G  )半島にあるフィンランドの北方、つまり、北極圏で、それを体験することができる。

上の動画は北極圏における白夜

下の動画は南極圏における白夜
 



 これらの点を考慮すると、時計の針を1時間(  H  )夏時間を採用するメリットは、我が国よりも、ヨーロッパの方が(  I  )と言える。そのため、ヨーロッパ諸国は夏時間を採用しているが、各国で制度が異なると混乱するため、1980年、EU(欧州連合)の前身にあたるEEC(欧州経済共同体)は夏時間の導入を決定した。また、1996年以降、全ての加盟国は毎年3月最後の日曜日から10月最後の日曜日まで、夏時間を採用することになった。そのため、ドイツやフランスは、2020年3月29日(日)の午前3時(28日(土)の27時)、時計の針を1時間進め、夏時間を導入したが、これはEU法に基づき、一斉に行われた。

 しかし、夏と冬で時間が異なるのは、体内時計を狂わす、1年に2回、時刻を変えるのは面倒といった批判が増えるようになった。なお、男性よりも、女性は、体調を崩しやすくなるとされている。そのため、EUの行政機関である欧州員会は、2018年夏、EU史上、初となるWEBアンケートを実施し、夏時間を廃止すべきかどうかEU市民(EU加盟国の国民)に質問したところ、約480万の回答があり、その内の84%が夏時間の廃止を支持した。これを受け、同機関がEUの立法機関の一つである欧州議会に夏時間の廃止を提案したところ、可決され、遅くとも2021年3月には、現行制度を廃止するという決定が下された。

  その後、もう一つの立法機関であるEU理事会でも審議が始まったが、この機関には加盟国政府の大臣クラスの代表が出席する。具体的に誰が参加するかは、議案ごとに異なるが、夏時間の導入に関しては、各加盟国の運輸大臣ないしそれに相当する者が参加した。この機関は、加盟国が半年ずつ交代で議長国を務めることになっているが、2019年上半期議長国を務めたのはルーマニア、2019年下半期の議長国はフィンランドであるが、これらの国の政府によれば、夏時間の廃止に関し、加盟国間で見解が大きく異なっているため、早々に決定が下される見込みはないとされていた。しかし、EU市民の大多数の見解や、欧州議会の議決は無視できないため、EU理事会は、夏時間の導入に関するEU法の廃止を決め、2021年以降は各加盟国が独自に方針を決定するものとした。

 
〔課題〕
 1.夏時間を導入するメリットとデメリットをそれぞれ箇条書きにして挙げなさい。

 2.以下の文章を読み、誤りがあれば指摘しなさい。

 ① EUには立法機関が2つある。

 ② 欧州委員会が2018年に実施したWebアンケートによると、日本人の多くは夏時間に賛成している。

 ③ EU理事会は夏時間に関するEU法を廃止せず、加盟国の判断に任せた。

 答案は、下の画像をクリックし、「メッセージ」として送信してください。
 提出期限は、7月1日(水)18時です。


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