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日本語と外国語

 
 以下の文章を読み、問題に答えなさい。

 我々日本人は「日本語は難しい」とよく口にする。それは漢字が無数にあるだけではなく、敬語(それには尊敬語、謙譲語と丁寧語が含まれる)という複雑な表現形態があることを指している。せいぜい30のアルファベットしか用いない欧米人にとっては、約50の音節文字が2セットもあること自体、驚異的であるが、平仮名や片仮名が難しいと言う日本人はいないであろう。    

 さらによく聞かれるのは、「日本語は複雑怪奇で、英語ではそのニュアンスを表現できない」ということであるが、( A )を特別視するべきではない。なぜなら、上述したように感じるのは、概して日本語を英語に翻訳する時であるが、どの言語であれ、母語を外国語に置き換える作業は、その逆より骨が折れ、スムーズにいかないためである。なお、我々が難解と考える日本語を流暢に話す外国人は多数いるし、「日本語は難しい」「なかなか外国語に訳せない」といったことを常套句のように並べると、( B )から笑われることもある。それは、彼らは彼らの言葉の方が難しいと自負しているからである。日本語は難しく、英語は簡単とするなら、なぜ、日本人は簡単な言語を話せないのかという批判も出てくるが、どのような言語であれ、完璧にマスターするのは決して容易ではない。

 ところで、我々が「日本語は難しい」と発言すると、外国人から笑われることもあると述べたが、日本人からも嘲笑されるかもしれない。ただし、それは我々の先祖、厳密には、古代の文化人であるが、万葉の時代には、現在とは比較にならないほど細やかな表現が用いられていた。例えば、「AはBがCを訪ねるようDに指示した旨をEに伝えたとFから聞いた」という現代文からは人物の上下関係がほとんど判別できないが、これを明確に言い表すことができたという。それは現在よりも身分の違いを強く意識していたためであろう。つまり、言葉は意識の表れである。同様に、物事を真剣に考える習慣を身に付ければ、文章力も自ずと向上する。大学生に求められているものも、文章表現力よりは( C )であることが多い。つまり、よく考え、それが整理されていれば、文章にも置き換えやすい。外国語も同様であり、それに堪能かどうかは、母語の問題でもある。要するに、日本語が良くできれば、外国語も良くできるということである。


〔問題〕

 空欄A~Cに入れるべき適語を入れなさい。

 2 「AはBがCを訪ねるようDがEに指示した旨をFに伝えたとGから聞いた」という文において、Eは何をしなければならないのか説明しなさい。

また、Gは何をしたのか説明しなさい。
 
3 以下の文章を読み、課題文の趣旨に合致しない点があれば、それを指摘し、合致しない理由を説明しなさい。
 
日本人は「日本語は難しい」とよく口にするが、外国人も同様に、日本語は難しいと考えている。

 ② 一般に、人は自分の国の言語よりも、外国語の方が難しいと考えている。 

 ③ 言葉には話し手や書き手の相手に対する気持ちが表われているが、昔の日本人は上下関係を意識して話したり、書いたりしていた。 

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