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様々な平等

 
 平等には、例えば、①就学や受験する( A )を全ての子供に保障することや、②ハンディを負う子供には救済措置を与え、成果ないし( B )が平等になるようにすることがあり、前者を形式的平等(機会均等)、また、後者を実質的平等と呼ぶ。

〔問題〕
1 空欄AとBに入れるべき適語を下から一つずつ選びなさい。

  • 場所  大学  機会
  • 結果  収入  均等

 人種、信条、性別、家柄または出身による差別を禁止するというのは形式的平等を保障するということであり、福澤諭吉が「天ハ人ノ上ニ人ヲ造ラズ人ノ下ニ人ヲ造ラズ」と述べているのも、この平等を指す。しかし、人の能力や資質、また、環境には(大きな)違いがあり、実質的に平等ではない。そのため、形式的平等を保障するだけでは不十分とされている。

 平等が問われる別の例を挙げるとすれば、10歳の子供と5歳の子供に、おにぎりを1個ずつ与えるとすれば、数の上では平等になるが(絶対的平等)、実際にはアンバランスである。つまり、子供の食欲や必要な栄養摂取量を考慮するならば、10歳の子供には( C )与える必要がある。例えば、2個とする場合、他の10歳の子供にも2個あげれば平等になる。このように同じ条件にある者を平等に扱うことを相対的平等と言い、10歳の子供にも、5歳の子供と同じ数しかあげない絶対的平等と対比される。差別や特別待遇を行わないことを意味する「一視同仁」の「仁」とは「愛」や「思いやり」を指すが、「一視」が「愛」で「思いやり」かは検討を要する。
 

・絶対的と相対的
 時間は1秒ごとに正確に進むが、辛い時間はゆっくりと、楽しい時間は早く進むように感じられる。つまり、実際には同じように進行する時間であれ、他の機会と比較すると、進み方が違うと感じられる。このように、実際には同じであるが、他のものと比較すれば違いが存在することを相対的ないし相対性と呼び、絶対的ないし絶対性と対峙する。

  • A君は体重が60kgとする。体重が55kgのB君と比較するならば、A君は「重い」ことになるが、体重70kgのC君と比較すれば「軽い」ことになる。このように、「重い」「軽い」といった捉え方は相対的であるのに対し、60kgという「重さ」は絶対的な数値である。

〔問題〕
2 空欄Cに入れるべき適語を下から一つ選びなさい。

多く 少なく 等しく

3  「一視同仁」の意味を説明しなさい。

4 「一視同仁」の考えに合致するものを下から一つ選びなさい。
  • ① 年齢に拘わらず、子供には同じ数のおりぎりを与えるべきである。
  • ② 子供に与えるおにぎりの数は、子供の年齢に照らし、決めるべきである。
 

問題 下記の平等の内容として適切なものを1~4より一つずつ選びなさい。

・形式的平等
・実質的平等
・絶対的平等
・相対的平等

  1. 個々の状況を考慮し、異なる扱いをするが、同じ状況の下では平等に扱うこと
  2. 一切の差別を設けず、平等に扱うこと
  3. あることをする機会を全ての者に画一的に等しく与えること
  4. 個々の状況の違いを考慮し、等しい結果が得られるようにするこ




〔課題〕
 下記の文章に誤りがあれば、誤っている箇所を指摘し、正しなさい(解答例を参考にすること)。誤りが含まれていなければ、「誤りなし」と記載しなさい。
 
  • 「重い」「軽い」といった表現は絶対的である。
  (解答例)誤:絶対的
       正:相対的

  1. 母親が3歳の子供と5歳の子供に1個ずつおにぎりを与えるとすれば、実質的に平等ではあるが、形式的には平等ではない。

  2. 母親が3歳の子供には1個、5歳の子供には2個、おにぎりを与えれば実質的に平等になる。そこへもう一人の5歳の子供がやってきたが、その子供には1個しかあげないとすれば、3歳の子供との関係では相対的に平等になる。他方、別の5歳の子供との間では形式的平等は達成されない。

  3. 機会均等とは実質的平等のことである。

  4. 柔道やレスリングの重量階級制は相対的平等と形式的平等を保障するものである。

  5. 一視同仁とは、絶対的平等の精神に基づく愛情や思いやりを指す。

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 2020年6月17日(水) 18時までに送信してください。



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