国際私法講義ノート2020



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反致

 1

 これは行為能力に関する問題であり、適用通則法第4条第1項によれば、Xの本国法、つまり、日本法が準拠法となる。

 婚姻の成立要件は各人の本国法による(適用通則法第24条第1項)。つまり、Xについては日本法が、また、YについてはA国法が準拠法となる。

 Yについて、準拠法国であるA国の国際私法によると、常居所地法、つまり、B国法が準拠法となるが、適用通則法第41条はこのような反致(転致または再致)を認めていない。


 2
 適用通則法第31条第1項前段は、養子縁組は縁組みの当時の養親の本国法によると定める。したがって、本問のケースにおける養子縁組は、養親Aの本国法である日本法による。

 第31条第1項後段は、養子の本国法、つまり、甲国法上の要件を満たす必要があるとする。甲国の民法によれば、養子縁組には裁判所の決定が必要になるが、この場合に狭義の反致を認め、日本法を準拠法とすれば、養子の保護といった第31条第1項後段の趣旨が失われるため、狭義の反致を認めるべきではないという見解が有力である。