国際私法講義ノート


スペインの民法典と国際私法
 
 スペインは地域的不統一法国であり、地域間で法の内容が異なる場合がある。
 
 民法については、民法典(Código Civil)が1888年10月に制定されており、その最初の編(Título preliminar)(第1条~第16条)と第1編第4章「婚姻」(第42条~第107条)はスペイン全土で直接的に適用されるが(第13条第1項)、その他の規定については自治州ないし地域の法が優先的に適用される。例えば、相続については、カタルーニャ自治州やバレアレス諸島を含む7つの自治州・地域が独自の法を制定しており、被相続人がこれらの地域に属する場合には、その地域の相続法がスペイン民法に優先して適用される(第14条参照)。

 なお、スペインの抵触規定は民法典の中に盛り込まれているが(第8条~第14条、第107条、第732条~第736条)、EU統合過程において加盟国の国際私法は部分的に統一されており、それがスペイン民法典内に盛り込まれている抵触規定に優先する。例えば、相続については、EU抵触法(規則第650/2012号)が2012年7月に制定されており、それがスペイン法に優先するが、地域的不統一法国における準拠法の決定は、その国の抵触規定によるとされているため(EU規則第36条)、スペインのどの地域の相続法が適用されるかは、スペインの抵触規定による。

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