EC法と国内法の関係については、両者が矛盾抵触する場合、どちらが優先するかという問題の他に(参照)、以下の問題 が生じる。
国際法規であるEC法は加盟国法に置き換えることなく、加盟国内でも直接的に適用することができるであろうか、それとも、国内法に変形または置き換えられた後に初めて適用されるようになるであるか。EC条約内の規定(第1次法)の適用について、EC条約は特に定めていない。他方、第2次法の適用については、次のように定めている。
・
|
「規則」は加盟国でも直ちに適用される(EC条約第249条第2項)。
|
・
|
「指令」は加盟国によって国内法に置き換えられなければならず(第3項)、置き換えられた国内法が適用される(第249条第3項)。つまり、第249条第3項によれば、指令は、加盟国内では直接的に適用されない。
|
ところが、EC裁判所は、「指令」であれ、@その内容が無条件であり、 かつ、十分に厳密に規定されている場合(つまり、加盟国が裁量権を行使し、詳細を決める必要がない場合)は、直接的に適用されると判断している。そのため、加盟国が指令を所定の期間内に国内法に置き換えなかった場合において、前掲の条件が満たされると、指令が直接的に適用される。この指令に基づき個人に権利が与えられる場合、個人はこれを法的根拠にして、加盟国に訴えを提起することができる(Case 8/81, Becker [1982] ECR 53, paras. 24-25) 。
他方、第1次法についても、EC裁判所は、直接的に適用されうることを明らかにしている。その要件は、前述した指令の直接適用性の要件と実質的に同じである。つまり、
|