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European Commission
 欧州委員会
 リスボン条約体制


目 次

    はじめに

  1. 組織・構成

  2. 任務・権限

  3. 意思決定手続

  4. リンク


リストマーク ニース条約体制は こちら
ベルギー・ブリュッセルにあるEU理事会

欧州委員会本部 Berlaymont 
  (ベルギー・ブリュッセル)

© European Union, 2009



はじめに

 欧州委員会は主たる行政機関として、法令の遵守を監視し、また、欧州統合の発展を促す役割を負っていることは、リスボン条約体制下でも変わらない。さらに、EUを対外的に代表する任務も与えられているが、リスボン条約に基づき設けられた 欧州理事会議長 や、共通外交・安全保障政策の上級代表 の権限強化 は、委員会の権限を相対的に弱めている(参照)。

 EC条約では「委員会」(Commission)という名称が用いられていたが(第7条第1項等参照)、実務では欧州委員会(European Commission)という呼称が広く用いられてきた。新EUは、この慣例に合わせている(EU条約第7条第1項第1款、第11条第3項・第4項、第13条第1項、ただし、第13条第1項以降の条文では、Commission と略されている)。

 組織面では、共通外交・安全保障政策の上級代表が副委員長となり(従来はEU理事会の事務総局長であった)、諸政策の一貫性や諸機関の調整を確保する役割が強化された。他方、リスボン条約に基づくEUの政策の拡大は、欧州委員会の職務も増やしているが、人員の削減という課題も抱えている。



1.構成

 まず、欧州理事会が特定多数決によって委員長候補を選び、欧州議会に提案する。審査の結果、議会の信任が得られるならば、議会は議員の多数決の賛成によって、委員長を選出する。なお、議員の過半数の支持が得られない場合は、1ヶ月以内に、新しい候補が欧州理事会によって選ばれ、議会に提案される(EU条約第17条第7項第1款)。

 従来、議会には承認権しか与えられていなかったが(EC条約第214条第2項第1款)、新条約は選出を議会に委ねている(なお、任命するのは欧州理事会である)。また、欧州理事会は、候補の決定に際し、欧州議会と協議し、かつ、欧州議会選挙の結果を考慮しなければならない(EU条約第17条第7項第1款)。つまり、直前の選挙で勝利した第1会派に属する者を委員長候補に指名しなければならない(もっとも、議員の中から委員長候補を指名するわけではない)。これらの改正点は委員長の民主的基盤を強化する意義がある一方で、欧州委員会は所属政党に拘束されず、EUの利益のために中立性を保つ必要があることを考慮すると(第17条第3項第2款)、問題がないわけではない 。

 残りのメンバーは、従来通り、加盟国の提案に則し、EU理事会によって指名されるが(第17条第7項第2款)、共通外交・安全保障政策の上級代表を兼ねる副委員長は、欧州理事会レベルで指名される。なお、副委員長は1人に限られるわけではない。


欧州委員会の指名・任命


 委員長と共通外交・安全保障政策の上級代表を兼ねる副委員長(なお、副委員長は同人の他にも、複数人、選ぶことができる)を含む全ての候補は、欧州議会によって個別に審査されるが、委員会全体として議会の信任を得なければならない(第17条第7項第3款第1文)。信任が得られると、委員会は欧州理事会の特定多数決に基づき任命されるが(第2文)、従来の任命権者は理事会であった(EC条約第214条第2項第3款)。これは、立法機関(理事会)と行政機関(欧州委員会)の平等の観点から問題があったが、新条約では改善されている。なお、欧州理事会のこの議決に委員長は参加しない。


 委員会の構成に関し、最も争われていたのは、その規模である。リスボン条約の発効から2014年10月31日までは、従来通り、各国より1名のメンバーで構成されるが、その後は、委員会の活動の実効性を維持するため、全加盟国数の3分の2に相当する人数に削減されると定められた(第17条第4項、第5項)。例えば、現在の27ヶ国体制が維持されるとすれば、欧州委員会は18人のメンバーで構成される。その場合、委員は、各国の人口や面積を考慮しながら、欧州理事会が全会一致で採択した決議に基づき、各国に平等な条件で互選される(第17条第5項)。もっとも、2008年12月、欧州理事会は、今後も各国より1名ずつ選出されるようにする方針を決定した。これは、アイルランドの国民投票でリスボン条約の批准が否決されたことを受け、同国民の支持を高めるためにとられた措置の一つである(参照)。



2.権限・任務

 (1) 法案提出権

 委員会の権限・任務は、EU条約第17条第1項でまとめて規定されているが、従来と同じである。また、第2次法の制定に際し、法案の提出権は委員会にのみ与えられており、その提案がなければ、法令は制定されない(第17条第2項第1文)。ただし、政府間協議としての性質を残している「自由、安全および正義の空間」の分野では、加盟国にも法案提出権が与えられているが(EUの機能に関する条約第76条)、これは従来のEU条約第34条第2項(参照)と同じである。

 他方、法令の制定を除く意思決定手続において、委員会に発議権は与えられていない。例えば、共通外交・安全保障政策 に関し、委員会は従来通り発議権を持たない(EU条約第31条第1項参照)。また、そもそも欧州理事会は法令を制定しえないため、その決定に先立ち、委員会は提案しえない 。


(2) 対外的代表権

 従来、委員会にはECを対外的に代表する権限が与えられていたが、リスボン条約は、共通外交・安全保障政策の分野における代表権を欧州理事会議長と同政策の上級代表に与えている(詳しくは こちら)。委員会は、これらの政策や諸条約で除外されている案件を除き、EUを対外的に代表する(第17条第1項第6文)。



3. 意思決定手続

   こちらを参照



4.リンク

  ・ 欧州委員会の公式ホームページ 英語版  仏語版  独語版
  ・
Barroso 委員長