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星

 
基 本 的 自 由 と は
  


 EC内では、以下の4つの移動の自由が保障されている(EC条約第3条第1項第c号および第14条参照)。

     @ 商品(第23条〜第31条参照)

     A (第39条〜第48条参照)

     B サービスの提供(第49条〜第55条参照)

     C 資本と支払(第56条〜第60条参照)


 なお、人の移動の自由には、自然人の移動の自由と、法人の移動の自由が含まれるが(被雇用者の移動の自由と、雇用者の移動の自由と解することもできる)、EC法上、後者は 開業の自由(第43条〜第48条)として捉えられている。

 これらの移動の自由は、域内市場における基本的自由として厚く保護されているが、その中でも人の移動の自由「社会的要素」を持ち合わせている点で重要である。つまり、この自由は、労働者の社会的基本権としての側面を持っている。EC条約が直接的に保障するのは、労働者の移動の自由のみであるが、規則(Regulation No. 1612/68, OJ 1968 L 257, 13)に基づき、この権利は労働者の家族に対しても保障されるようになった。 さらに、EC裁判所の判例法を通じ、他人のサービスを受ける者にまで保障範囲が拡大され、また、労働を終えた者、つまり、退職者(年金生活者)には引き続き滞在する権利が認められるようになった。

 このように、保護される者や保障範囲が拡大されたとはいえ、前述した「人の移動の自由」が経済活動に結びついることに変わりはない。経済的要素を問わず、広く移動の自由を保障するため、1990年(および1993年)には、一連の理事会指令が制定されている。また、この第2次法を基礎とし、1992年に制定されたマーストリヒト条約は、一般的な人の移動の自由を EU市民の権利 として保障している(現行EC条約第18)。つまり、EU市民(労働者や経済活動を行う者に限定されない)は、EU内を自由に移動し、かつ、滞在する権利を有するが、この権利は、「加盟国国民の基本的地位」に相当し、EU市民は、この権利を直接援用することができる(ECJ Case C-413/99 Baumbast et al v Secretary of State for the Home Department [2002] ECR I-7091, para. 84)。なお、一般的な移動の自由(EC条約第18条)は、経済的な活動の自由と密接に関係しているわけではないため(つまり、経済的要素を持ち合わせていない)、EU市民は他の加盟国に赴き、そこで自由に経済活動を行う権利まで保障するものではない。

 

  EU内を自由に移動し、居住する権利(EC条約第18条)


 


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