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EU  欧 州 委 員 会 の 新 し い コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 戦 略


 欧州憲法条約 の批准に先立ち、フランスとオランダで実施された国民投票は、現在の欧州統合のあり方に対する両国民の不満をあらわにしたが(参照)、その他の加盟国でもEUの支持率は低下している。EU市民との対話を促進し、このような状況を改善するため、欧州委員会は、2005年7月20日、新しいコミュニケーション戦略を策定した。同戦略は、以下の3つの柱からなる。


Listening

 EUの広報活動は「一方通行」であってはならず、市民の見解を聞き、また、市民に意見を述べる機会を与えなければならない。

Communicating

 市民の生活に密接に関わる案件について、明瞭かつ分かりやすく伝えなければならない。欧州委員会は、自らが作成する法案の内容を早期に公開する。

Connecting by going local

 情報はブリュッセルより発信するのではなく、市民に身近な形で、また、市民が理解しうる言語で行わなければならない。



 2001年以降、コミュニケーションは主要な政策課題の一つに挙げられており、欧州委員会は3つの決定を下しているが、以下の要因に基づき、その発展は妨げられている。


コミュニケーションは、独立した一つの政策分野として位置づけられておらず、各総局 (Directions Générales (DG) に細分化されている。そのため、人員や予算の確保が十分ではなく、作業も効率的に行われていない。将来は、コミュニケーションに関するあらゆる問題を統括する DG Communication (DG COMM)を立ち上げる。


従来は、政治的に重要な情報の伝達が優先されているが、これらは必ずしも市民生活に深く関わるものとはいえない。

EU市民の意見がフィードバックされにくい。

 

 これらの欠点を改善するため、欧州委員会は50の措置を決定している。また、EUの法令は、2004年5月に新規加盟した国の公用語(計9つ)を含め、すべての加盟国の公用語に翻訳されることの重要性が強調されている。




(参照) 欧州委員会のプレス・リリース(2005年7月20日)
 ・ 新コミュニケーション・プログラムについて
 ・ 多言語の重要性について

Europäische Komission, Vertretung in Deutschland, EU-NACHRICHTEN, Nr. 27, Seite 5-6


(2005年7月28日 記)