2005年11月28日、欧州委員会の Mandelson 委員(通商政策担当)(写真左)は、ベルリンでプレス・コンファレンスを開き、約半月後の12月13日より開催されるWTO香港閣僚会議について語った。決裂することなく閉幕すれば、同会議は成功であると述べ、会議の目標を非常に低く見積もっているが、これは、包括的合意の採択は、もはや不可能とみなされていることを踏まえた発言と解される。交渉が行き詰っている背景には、先進国と発展途上国間の利害対立があるが、後者の要求に従い、農産物の関税を大幅に引き下げることは、世界経済の利益にならないとし、工業製品やサービス貿易の自由化との均衡を図る必要性を強調している。他方、農業貿易の自由化を推進するという当初の方針は変更していない((詳しくは
こちら)。その具体策として、EUは域内の砂糖市場を多くの発展途上国にも開放するだけではなく、2013年までにEUの農業補助金を現在の約3分の1に引き下げると述べている。EUの砂糖市場に関する規則は、約40年にわたり改正されていないが、去る11月24日、EU理事会(農相会議)は、価格を36%引き下げることで合意している(参照)。EC産の価格支持(価格統制)を弱めることで、市場の自由化を図るものと解される。他方、農業補助金については、10月中旬、70%の削減案を提示し、フランスの猛反発を受けた経緯があり(詳しくは
こちら)、実現しうるかどうかは定かではない。
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