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トルコ国旗 Verheugen 欧州委員 トルコのEU加盟問題について語る

Part  1
 

 2004年10月6日、欧州委員会は、トルコのEU加盟に関する報告書を公表し、同国との加盟交渉を開始するかどうか、独自の見解を示すことになっているが、ポジティブな結論が下れるであろうとの予測が有力である。この点について、Günter Verheugen 欧州委員(EU拡大担当)は、欧州委員の中には、トルコのEU加盟に懐疑的な者がいることを明らかにした上で参照 こちらも参照、これらの委員の懸念を払拭するためにも、報告書ではあらゆる問題点が指摘されるとの見解を明らかにした。これは、Die Welt 紙の取材に対し答えたものであるが、Verheugen 欧州委員は、出身国ドイツがトルコのEU加盟に積極であることは、自らの職務に影響を及ぼしていないことも明らかにしている。さらに、トルコの規模や経済構造などに鑑み、スロベニアやエストニアとの加盟交渉とは比較にならないこと、また、2001年9月11日の米国同時多発テロによって、状況は変化しており、驚くべき展開も否定しえないとしている参照




トルコのEU加盟に消極的な欧州委員


 オーストリアの日刊紙 Der Standard によれば、多くて7人の欧州委員は、トルコのEU加盟に消極的であるとされ、Loyola de Palacio 氏(スペイン)、Bolkestein(オランダ)など、保守系政治家の名前が挙げられている。また、Franz Fischler 委員(オーストリア)が同僚のその他の委員に宛てた手紙について触れ、@ トルコに対する農業補助金は、年間で113億ユーロにも及ぶ見通しであること、Aトルコ国内における人権侵害、また、B宗教上の理由に基づき、Fischler 委員も、トルコのEU加盟に懐疑的であるとしている。なお、この手紙は、2004年7月30日に書かれており、現在、Fischler 氏は、懸案の問題について、オープンであるとされるが、近時の Financial Times のインタビューでは、トルコは文化的にオリエンタルであり、地理的にはアジアに属するとし、EU加盟に消極的な立場を示しているとされる参照。また、仮に加盟交渉の開始が決定されたとしても、通常とは異なる交渉手続を設けるべきであることを提案している。この手続では、すでに交渉段階において、トルコにはEU法の遵守が要求されるものと解されているが参照、これによって、同国がEUのスタンダードに達しうるかどうかが試されることになる。


   こちらも 参照




New Erdogan トルコ首相の反論


 オーストリアの日刊紙 Der Standard によると、トルコの Recep Tayyip Erdogan 首相は、9月11日、同国に対するEU支援は100億規模に達するという Franz Fischler 欧州委員(オーストリア)の警戒を一蹴し、トルコには自助力があるため、EU加盟交渉開始後も、経済支援は不要であると述べたとされる。


(参照) Der Standard
Der Standard 紙掲載の論説


  

(2004年9月13日記)



 なお、Verheugen 委員によれば、少なくとも6人の欧州委員は懐疑的であるとされるが参照、現在、欧州委員会は、30人のメンバーで構成されており、いずれにせよ少数派である。
 


(2004年9月11日記)


 

(参照) Die Welt (独語)
(2004年9月4日記)


New Verheugen 欧州委員 トルコのEU加盟問題について語る Part 2