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ルクセンブルク国旗 2005年上半期 EU理事会議長国

ルクセンブルク
EUの旗

総 括

 

 6月17日夜半、2005年の上半期を締めくくる 欧州理事会 は終了し、理事会議長国としてのルクセンブルクの任務も終わりに近づいている(今後の予定は こちら)。

 欧州理事会閉幕後、ルクセンブルクの Juncker 首相 は、Barroso 欧州委員会委員長 と共に記者会見に臨み、17日の審議結果について説明したが(詳しくは こちら)、まず初めに、この半年間の成果として、@ 安定・成長協定の見直し と、A リスボン戦略の修正・強化 を挙げた。

 他方、最重要政策課題の一つである EU次期財政計画 の策定は失敗に終わったが(詳しくは こちら)、この点について、Juncker 首相 は、EUは単なる危機ではなく、深刻な危機に直面していると語った(参照)。理事会議長によれば、@ 単に大きな市場(EC市場)のみを必要としている国と、A 政治統合を目指す国があり、両者の対立は表面に現れるよりも根深いとされる。

 財政計画が暗礁に乗り上げた背景には、「新旧ヨーロッパの対立」も横たわっている。つまり、市場開放・国際化を推進するイギリスは、フランスに代表される「社会主義的自由経済」ないし「ヨーロッパ型社会モデル」の修正を要求している。また、Blair 首相は、フランスの見解を強く反映したEU財政(全予算の40%以上は農業補助金に当てられている)が根本的に見直されない限り、イギリスの優遇策 の見直しには応じられないと述べている。

 このような見解の対立は、サービス市場の自由化に関しても顕著に現れ、欧州委員会が作成した指令案は再検討を余儀なくされた(詳しくは こちら)。ここでは、約2か月後に フランスで国民投票が実施されること を考慮し、同国に譲歩する形となったが、自由化に対する懸念から、フランス国民は 欧州憲法条約 の批准を否決した(詳しくは こちら)。これに端を発する 憲法条約批准危機 は、憲法条約の発効目標の延期という事態に陥った(詳しくは こちら)。

 4月には、ブルガリア、ルーマニア両国とのEU加盟協定が締結されているが(詳しくは こちら)、急ピッチで進展するEU拡大に従来の加盟国の国民は懐疑的になっており、今後の動向が注目される。なお、クロアチアとの加盟交渉の開始は見送られた(詳しくは こちら)。



(参照) Press Release (18-06-2005)



ルクセンブルクの国旗 ルクセンブルクEU理事会議長国の公式サイト (仏語)(英語


(2005年6月18日 記