Top      News   Profile    Topics    EU Law  Impressum          ゼミのページ


 

電力・ガス市場の自由化 遅れる



 2003年6月に採択された指令によれば、EU域内の電力・ガス市場は 、2004年7月1日より自由化されなければならないが、大半の加盟国では国内法の整備が遅れ、また、市場の自由化に必要なインフラ整備が完了していない。この現状を受け、欧州委員会副委員長の Loyala de Palacio は、7月1日、電力・ガス市場の自由化を迅速に進め、今月中にこれを実現するよう加盟国に要請した。

 2003年6月、EU理事会は、欧州議会と共同で、EC電力市場に関する指令 (Directive 2003/54/EC) と、ECガス市場に関する指令 (Directive 2003/55/EC) を制定し、両市場における競争力の強化、公正な競争、実効的な管理、ネットワークの構築、また、より厚い消費者保護について規定した。これらのEC第2次法によれば、EU内の企業は、2004年7月1日より、国外の電力・ガス供給業者とも契約を自由に締結することが保障され、また、一般家庭には、2007年よりこれが保障されなければならない。しかし、前述したように、国内法の整備の遅れから、当初の予定通り実施されないことになった。現在、多くの加盟国の市場は、若干の供給者によって独占されており、消費者には交渉の余地がないとされる。もっとも、市場自由化の傾向を踏まえ、電力代金は1995年より、10〜15%程度、下がっている。


(2004年7月1日記)  


(参考)

欧州委員会の公式サイト