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EUの旗 2004年11月の欧州理事会


 2004年11月4〜5日、欧州理事会がブリュッセルで開催された。主な議題と決定事項は以下の通りである。


@

リスボン戦略実施の中間評価の準備

 2005年春、欧州理事会は、リスボン戦略 の実施状況について、中間評価を行う予定であるが、それに先立ち、Wim Kok オランダ元首相を座長とするグループの調査結果が示された(参照)。この調査結果や加盟国の見解を踏まえた上で、欧州委員会は新たな政策案を2005年1月末までに提示し、また、EU理事会は この提案を考慮し、必要な措置の導入について検討することが要求された。


 

A

ハーグ・プログラムの採択

 2001年9月11日の米国同時多発テロや、2004年3月11日のマドリッド電車テロ事件以降、テロ対策はEUにとっても急務になっている。テロ対策や治安維持政策の要である 「自由、安全および正義の空間」の大綱を、欧州理事会は、フィンランドのタンペレ(Tampere)で採択しているが、それ以来、5年が経過した。新たな問題に適切に対処し、今後5年間における政策の枠組みを定めるため、新たにハーグ・プログラムが採択された。このプログラムは、基本権保護、テロ・集団犯罪対策、国境検査、司法・警察協力 など、「自由、安全および正義の空間」に関わる案件を網羅しているが、注目すべき点は、庇護・移民政策の強化である。それによると、2010年までに、加盟国の庇護政策を統一することになっている。また、国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) との協力・協議も検討されている。
さらに、移民に関する案件を除き、決議は従来の全会一致から 特定多数決制度 によることも決まった(遅くとも2005年4月より実施)。なお、2005年5月に設立される EU域境警備事務所の所在地はまだ決定していない。



B

Communicating Europe

 EUの重要性を市民によりよく知らしめことや、EUの政策決定に市民の声をよりよく反映させるため、今後も公開討論等を実施することの必要性が確認された。EUに関するディスカッションや市民フォーラムの奨励は、特に、欧州憲法条約の批准に際し、国民投票が実施される加盟国において重要である参照
 



 また、Barroso 新欧州委員長(内定)によって提示された新メンバーリストが了承された他参照、イラク暫定政府の Allawi 首相との会談も行われ、同国の復興支援計画について協議された。


 さらに、再選が決まったブッシュ米大統領に賛辞を送ると共に、(特に、中東における)地域紛争、テロ、武器拡散、エイズ、貧困撲滅、Doha Round の成功 などの新しい政策課題に、共通の価値観を分け合う EU・米が協力して取り組むことの重要性を訴えた。


 なお、10月31日に実施されたウクライナ大統領選挙は、民主主義選挙の要件を満たしていないとし、決選投票(第2次投票)までに改善策を求めるとする声明も最終決議には盛り込まれた。



リストマーク 欧州理事会の最終決議

その他の欧州理事会の決議については こちら

   


(2004年11月6日 記)