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 欧州憲法と国民投票 tulip on the earth


 EUの東方拡大に際し、新規加盟国では国民投票が実施されたが(参照)、この流れを受け、欧州憲法条約についても、国民に直接是非を問うべきとする見解が力説されている。European Referendum Campaign (ERC) の調べによると、これまでに以下の9か国が国民投票の実施を表明している。

デンマーク ベルギー ポルトガル スペイン
チェコ ルクセンブルク アイルランド イギリス
オランダ


    リストマーク その後の動向については こちら


 さらに、EU理事会における持票数問題で譲歩を示したポーランドも、国民投票を実施する可能性がある。また、フランスの政権政党 UMP は肯定的だが、シラク大統領は態度を固めていない(追記 2004年7月14日、Chirac 大統領は2005年中に国民投票を実施することを明らかにした。詳しくは こちら)。ドイツでも、連立与党の緑の党は実施を訴えているが、同党所属のフィッシャー外相や、同じく政権政党 SPD のシュレダー首相は反対を表明している(参照)。

 なお、実施を予定している国のほとんどにおいて、国民投票は法的拘束力を持たないとされている(例えば、ベルギーやオランダなど)。そのため、直接民主制の意義は必ずしも大きくない。他方、不支持票が過半数を占めた場合、EUに対する信頼感は揺らぎ、欧州統合に水をさしかねないので、非常にリスクが大きいと言える。

 国民投票が実施されるのであれば、すべての加盟国で、同一日に行われるべきであると ERC は考えているが、6月1日、ベルギーの Verhofstadt 首相は、同国では、欧州憲法条約の制定後、50日以内に開催する予定であることを明らかにした。 

 なお、ERC の調査によれば、6月半ばの 欧州議会選挙 で候補者を立てている、250以上の政党の内、国民投票の実施を支持しているのは、75に過ぎないとしている(約30パーセント)。これに対し、EU市民の84パーセントは賛成しているとされる。


  (参照) 国民投票の必要性

(2004年6月3日記 7月15日更新)
 


   (参考)

Parteien drücken sich vor Frage des EU-Verfassungsreferendums, Der Standard v. 2. Juni 2004 

Verhofstadt will Belgier über EU-Verfassung abstimmen lassen, Der Standard v. 1. Juni 2004