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欧 州 議 会   委 員 長 候 補 を 承 認 す


 2004年7月22日、欧州議会(フランス・ストラスブール)は、2日間にわたる質疑・応答の末、Barroso 氏を次期欧州委員会委員長候補として了承した。議決には、全732人の内(参照)、711人の議員が参加したが、当初の予測を上回る413票が Barroso 氏を支持し(不支持は251票)、EC条約上の要件である投票数の 半数を大幅に上回った(EC条約第198条参照)。同氏が属する保守党派、また、自由党派、さらに、社会党派とEU懐疑派の一部が賛成票を投じたのに対し、社会党派と自然保護党派は反対したとされる。

 今後は、残る24人の委員の選任手続が本格化する。同手続における委員長の権限は強化される傾向にあり、Barroso 氏もこの点を強調しているが、実質的には、加盟国政府によって決定される。つまり、各国より、1人ずつ候補が擁立されることになるが(Barroso 氏の出身国であるポルトガルを除く)、次期委員長候補は、適任者を指名すべきであること(例えば、国内政治から引退せざるえない者を推挙すべきではないこと)、また、なるべく多くの女性を擁立することを各国政府に要求している。女性委員は8人以上でなければならないとしている。

 人選手続における最大の争点は、Barroso 氏とドイツ政府とのかけひきであろう。本年6月のEU拡大を成功裏に導いた Verheugen 委員(EU拡大担当、ドイツ出身)をいわゆる「スーパー委員(Superkommisar)」(兼副委員長)に任命し、種々の経済問題を統括させることをドイツ政府は再三要求しているが、7月22日の欧州議会の投票に先立ち、Barroso 氏は、1人ではなく、24人全員がスーパー委員であるべきとして、ドイツ政府の要請を間接的に退けている。EU加盟国の中で、最も経済改革の進捗が鈍いドイツから経済問題の担当委員を選任すること、また、大国が主要ポストを独占することに対する批判も強い。なお、社会党と自然保護政党からなるドイツ政府は、保守派で、イラク戦争を支持した Barroso 氏の委員長候補擁立に消極的であり、両者間の協調ないし友好関係を疑問視する立場も少なくない。


(2004年7月23日記  7月29日更新)

(参照) 在独欧州委員会の公式サイト
FAZ
Welt