2004年、EUには新たに10ヶ国が加盟し( 東方拡大)、また、欧州憲法条約 が制定されるなど、新しい秩序形勢に向け、欧州統合は大きく発展した( 新秩序の形成)。2005年は、その成果が問われることになる。
2007〜2013年のEU財政計画の策定
2005年6月までに、加盟国は次期(2007年〜2013年)EU財政の枠組みについて、合意を取りまとめる予定であるが、その争点は、従来の加盟国と新規加盟国の予算の配分にある。新規加盟国は、EUの財政支援に大きく期待しているが、従来、EUより多額の支援を受けてきたスペインやギリシャは、資金の分配に強く抵抗している。次期財政計画の決定に際しては、新旧加盟国の結束力が問われることになる。また、従来の予算規模では拡大EUを支えきれないとする欧州委員会は主張しているのに対し、純拠出国(EUから資金を受け取るよりも、多くの資金を拠出している加盟国)は、予算枠の拡大に反対しており、両者間の調整が不可欠となる。
予算問題について詳しくは こちら@、 A
欧州憲法条約の批准
リトアニア と ハンガリー は、早々と欧州憲法条約の批准を決定しているが、2006年11月の発効に向け、残りの加盟国は批准手続を進めることになる。とりわけ、国民投票を計画している加盟国(参照)の動向が注目されるが、2005年は、特に、フランス国民の動向が重要となる。同国では5月に国民投票が実施される予定である。欧州統合に懐疑的なことで知られるイギリスは、2006年の始めに国民投票を計画している。
さらなるEU拡大
欧州憲法条約の批准に関する国民投票では、トルコのEU加盟問題 も争点の一つになると解される(参照)。加盟交渉は、2005年10月3日に開始される予定である(参照)。それに先立ち、3月17日にはクロアチアとの加盟交渉の開始も計画されているが、これは同国が国連ユーゴラスビア法廷に完全に協力することを条件としている(参照)。ユーゴスラビア内戦から10年以上が経過した現在、バルカン半島を取り込んだ新しい秩序の形成に向け、EUはまた一歩前進しようとしている。
他方、ブルガリアとルーマニアについては、2007年のEU加盟が予定されており、それに備え、2005年4月には、加盟協定が締結される予定である(参照)。
2005年上半期はルクセンブルクが理事会議長国を務め(参照)、イギリスに引き継ぐことになっているが、上半期には、リスボン戦略の中間評価と今後の計画の策定という重要な案件が待ち受けている(参照)。
国際テロ対策の強化も重要な政策課題となるが、その一環として、5月までには、欧州国境警備機関(European Border Agency)が設置され、活動を開始する予定である(参照)。
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