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EUの鳥インフルエンザ対策

七面鳥

  2005年10月17日、ギリシャでは、EU内で初となる鳥インフルエンザの感染例が確認され、多方面に大きな衝撃を与えている。翌18日、ギリシャ政府は、人に感染する恐れがあるとし、インフルエンザ発生地域からの家禽の輸送を禁止した。

 ギリシャの隣国 トルコルーマニア でも、人に感染しうるウィルスの存在が数日前(それぞれ10月13日、15日)に確認されている。そのため、EUは、両国から生存中の鳥、鳥肉、また、まだ加工されていない羽毛の持ち込ことを禁止している(参照)。

薬 EU内(ギリシャ)での発症が初めて確認されたことを受け、欧州委員会は、10月18日、加盟国に対策の強化を改めて訴えている。特に、(人から)人への感染に備え、薬品(Tamiflu)の調達を要請している。WHOは、少なくとも人口の25%の備蓄を勧告しているが、全ての加盟国がこれに従っているわけではないと欧州委員会は警鐘を鳴らしている。また、人体への感染予防に必要なワクチンの研究開発・製造も遅れていることや、免疫力が低下している人には予防接種を行う必要性を指摘している。

 健康政策は、基本的に加盟国によって実施される。そのため、EUに強力な権限は与えられておらず、EUは国内政策を支援・調整しうるに過ぎない。2005年10月18日の外相会議 終了後、議長国イギリスの Straw 外相は、鳥インフルエンザは全世界の脅威となるため、国際的な政策調整が重要であり、欧州委員会は、調整役を務めるべきであると述べている。

 個々の加盟国内における権限の配分もさまざまであり、ドイツでは、各州が独自の措置を講じている。全国規模の鳥インフルエンザ対策は講じられていないが、(ヨーロッパ内の発症地域に比較的近い)バイエルン州は、10月19日より、放し飼いを禁じるとしている。



(参照)

欧州委員会の公式サイト

Süddeutsche Zeitung v. 19. Oktober 2005, Seite 7 ("Brüssel kritisiert Vorkehrung gegen Vogelgrippe")

Frankfurter Allgemeine v. 19. Oktober 2005, Seite 6 ("EU-Kommission; Europa nicht auf Vogelgrippe vorbereitet")

FAZ.NET−Spezial: Vogelgrippe



(2005年10月19日 記)