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第2次世界大戦の終了とドイツ

ドイツ国旗 第2次世界大戦によって、700万(兵士530万人、民間人170万人)が命を落としたが、1945年5月8日の終戦(公式な終戦記念日)から60年が経過した現在、大半のドイツ国民は、終戦をナチス・ドイツ体制からの解放と捉えているとされる。このような歴史観は、戦争を経験していない戦後世代が多数を占める1980年代に主張されるようになった。1985年5月8日(終戦記念日)、当時の Richard Weizaecker 大統領も演説の中でこのような見方を示しているが、終戦は、同時に、戦争によって失われた多くの悲しみからの「解放」も意味していた。

 なお、終戦直後、Adenauer 大統領(当時)は、終戦をこのように捉えていない。それは、ドイツが連合国の支配下に置かれたからであり、また、政治的・経済的荒廃は、ドイツ(Adenauer 政府)に自由を与えなかったからである。むしろ、戦争の終了は、"Stunde Null" (零時)として捉えられ、ドイツ国民は、国の再建に、「ゼロから出発」しなければならなかったが、60年代には「経済の奇跡」(Wirtschaftswunder)を体現するだけではなく、欧州統合の過程においても、指導的な役割を果たすようになった。戦後に成長し、ナチズムに加担したことのない現代のドイツ人にとって、終戦とは、ナチス・ドイツの支配からの解放にあたり、新しいドイツの出発と捉えることも非現実的ではない。



 IMAS のアンケート調査によると、終戦はヒットラーからの解放と捉えるドイツ人は52%に達し、連合国の勝利(29%)とする見方を上回っている。なお、ドイツに併合され、戦争に加担したオーストリアでは、解放とする見解が37%、また、連合国の勝利とする見解が22%となっている。



(参照)

Welt am Sonntag v. 8. Mai 2005, Seite 9 (Henning Köhler, Von der "dunkelsten Stunde" zu "Befreiung")

Welt am Sonntag v. 8. Mai 2005, Seite 10 ("Bravourös bewältigt")

Die Presse  v. 7./8. Mai 2005, Seite 1 (Weltkrieg II? - "Nicht mehr darüber reden")



(2005年5月8日 記)