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自 由、安 全 お よ び 正 義 の 空 間

New リスボン条約体制は こちら


 領域内の治安を維持し、国民に自由と正義を保障することは、あらゆる国家の課題に当たるが、同様のことはEUにもあてはまる。1993年11月の発足以来、EUは、加盟国間の警察・司法協力を推進するだけではなく、庇護・移民政策や国境検問の調整などを行ってきたが(EUの「第3の柱」参照)、1997年10月制定(発効は1999年5月)の アムステルダム条約 は、「自由、安全および正義の空間」の創設をEUの目標として明確に規定した(前文、第2条第4号、第29条第1項参照)。これによると、EUは、域内に滞在する市民に自由と安全と正義を保障するよう努めなければならない。これが保障されていないと、人々は域内を自由に移動することを控えるようになる。つまり、人の移動の自由という大原則を達成するためには、「自由、安全および正義の空間」の創設が不可欠になる。この空間の創設については、EU条約内だけではなく、EC条約内にも定めがあるため(第61条)、政策の実施にあたっては、両条約を参照する必要があるが、両条約内の規定は、前述した人の移動の自由を主たる目標にしている点で一致している。

 「域内市場」という概念に同じく、「自由、安全および正義の空間」という概念も抽象的であるが、具体的には以下のことを指す。



自由

人の移動の自由の保障
また、人権の保護やあらゆる差別の禁止も含まれる。

国境(EU域境)検査、庇護・移民政策、ビザの発給

現在、これらは、EC条約(特に、第61条以下)に基づき実施される。


安全

犯罪の撲滅と訴追
対象となる犯罪として、EU条約第29条第2項は、特に、テロ、人身販売、子供に対する犯罪、違法な薬物・武器取引、贈収賄および詐欺を挙げている。

これらの政策は、いわゆる「EUの第3の柱」 に属し、「刑事に関する警察・司法協力」として実施される。


正義

市民に対する正義の保障、
国内司法当局間の協力

これらは、主に、EC条約(特に、第61条以下)に基づき実施される。


 「自由、安全および正義の空間」の創設について定めるEU条約第2条第1項第4号、第29条第1項およびEC条約第61条は、プログラム規定としての性質を有している。そのため、直接的効力 は有さない。特に、人の移動の自由を広く保障することを目標としている


 1999年10月、欧州理事会 は、フィンランドのタンペレ(Tampere)で、政策の大綱を決定し参照、それに基づき具体的なプログラムが実施されてきた参照


   リストマーク 5年間にわたる活動の成果について (欧州委員会報告書)


 さらに、2004年11月、欧州委員会は、ブリュッセルで、ハーグ・プログラムを採択し、来る5年間の政策大綱を決定している(詳しくは こちら




区切り線



(参照) 刑事に関する警察・司法分野における協力

EU内で失踪している子供は7万人

Brussels II 

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欧州委員会の公式サ
イト (英語)