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リスボン条約
〜 リスボン条約 〜


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ポーランドの与野党対立、条約 批准に影

ポーランド国旗 EU基本権憲章 はポーランドには適用されないことがリスボン条約の議定書 で定められた。これは、第2次世界大戦後、ポーランド領土より追放され、財産を没収されたドイツ人の補償問題に悪い影響を与えたり、同姓者間の婚姻を容認しなければならなくなることが懸念されたためである。前述したように、基本権憲章の適用排除がEU第1次法で明定されているため、ポーランドにとって不都合は生じないはずであるが、2008年3月、Jaroslaw Kaczynski 前首相は、リスボン条約はポーランドの国益と価値観を損ねるとし、批准反対を訴えている。批准には、国会議員の3分の2の同意が必要であるため、前首相が率いる「法と正義」(野党)が反対すれば、批准しえない。なお、2007年10月、リスボン条約草案が採択された当時、同党は、与党として条約制定作業に参加し、新条約の制定を了承したのであるが、その直後に行われた総選挙で敗れ、野党に回ってからは、与党の政策に反対している。リスボン条約の批准反対も、このような与野党対立の流れをくむものであるが、現職の Donald Tusk 首相(市民プラットフォームは、議会が条約批准を見送れば、国民投票を実施するとして対抗している。このような対立姿勢の背景には、世論の70%近くがリスボン条約の批准に賛成していることがある。

 なお、2008年3月17日、Lech Kaczynski 大統領(法と正義)は、批准に先立ち制定される国内法の前文において、自国に有利な議定書の規定を確認する必要があると述べている(参照)。これは、ポーランド政府が議定書の変更に応じることを阻止するためであるが、国会審議や国民投票でリスボン条約の批准が可決されるにせよ、正式な批准には大統領の署名が必要になるため、国内政治の対立が大きな影響を及ぼすことが懸念される。


  リストマーク ポーランド下院、リスボン条約の批准を承認


 リスボン条約の附属議定書では、イギリスに対しても、EU基本権憲章は適用されないことが明記されているが、これは、社会権の保障を阻止するためである(参照)。

 なお、ポーランドと同様に、ドイツ人に対する補償問題に影響を及ぼさないにようするため、チェコに対しても、EU基本権憲章は適用されないことが 2009年10月の欧州理事会で決定した(詳しくは こちら)。





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(参照)

Die Presse v. 14. März 2008 (Polen: Kaczynski übt wieder das Blockieren)
 

Die Presse  v.  18. März 2008 (Polnischer Premier droht mit Referendum über EU-Vertrag)

FAZ v. 18. März 2008 (Kaczynski warnt vor Deutschland)
 


リストマーク リスボン条約の批准 

リストマーク 欧州憲法条約


(2008年3月20日 記  4月1日 更新)