2008年2月7日、フランス国民議会は、リスボン条約の批准を圧倒的多数で了承した。賛成票を投じた議員は336人、反対した議員は52人、棄権した議員は1人であった(参照)。また、翌8日には、上院も、圧倒的多数の賛成のもと、批准を了承した(賛成265、反対42)(参照)。2005年5月の国民投票に際し、批准反対を訴えていた社会党議員の多くは(詳しくは こちら)、リスボン条約の批准に賛成し、反対票を投じたのは一部の左派ないし極右政党議員等であった。今後、リスボン条約は、フランス大統領ないし首相の署名によって、正式に批准される予定である。
2005年5月、フランス国民は、欧州憲法条約の批准を否決する決断を下し、同条約の発効を断念させるきっかけを作ったことから(詳しくは こちら)、リスボン条約の批准についても注目が集まっていたが、今回、フランスは国民投票ではなく、国会に判断を委ねた。なお、野党議員の中からは、両条約の内容は実質的に同じであるため、2005年の国民投票の結果を尊重すべきであるとする批判や、リスボン条約の批准に際しても、国民投票を実施すべきであるとの意見が主張されたが、フランス国会は、直前に憲法を改正し、国会による決定を可能にした。判断を先延ばしすれば、反対派を勢いづけ、2008年下半期、EU理事会議長国を務めるフランスの指導力に影を落とすことも懸念されていた。
リスボン条約は、次期欧州議会選挙が実施される2009年6月までに発効させることが目標として掲げられている。2008年2月9日現在、ハンガリー、スロベニア、マルタおよびルーマニアが批准を決定ないし終了しているが、いわゆる「大国」の中で、新条約の発効にゴー・サインを与えたのは、フランスが最初である。
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