欧州議会
欧州議会の定数は750を超えてはならない。また、各国には最低6議席が保障される一方で、1国の議席数は96を上限とする(第9a条第2項草案)。
(参照) 欧州議会の構成について (PDF)
欧州憲法条約と同様、リスボン条約は議会の権限を強化している(参照)。
欧州理事会と理事会
欧州理事会はEUの正式な機関となる(改正EU条約第9条第1項草案)。その任務は従来と同じであるが(第9b条第1項草案)、構成に関しては、新設のポストである欧州理事会議長が加わるといった変更がなされる(同第2項草案)。なお、欧州理事会には立法権限は与えられない(第9条第1項草案)。
立法権が与えられているEU理事会は、理事会と改名される(第9条草案)。
特定多数決制度の原則化
EU理事会は、原則として、特定多数決にて意思決定を行う(第9c条第3項草案)。なお、全会一致によるとする事項も多数、残されている(租税の調整、外交・安全保障政策、社会政策、基本条約の改正など)、特定多数決制度の適用分野が従来より拡大している(例えば、警察・司法協力の分野)。
2014年11月1日以降、特定多数決には、理事会メンバーの55%以上の賛成が必要であり(理事会には少なくとも15ヶ国の代表が出席していなければならない)、かつ、これはEU人口の少なくとも65%に相当していなければならない。なお、法案の否決には、少なくとも4ヶ国の代表の支持が必要である。その他の詳細は、EUの機能に関する条約第251条の定めによる(第9c条第4項草案)。また、移行措置は議定書内で規定する(第5項草案)。
欧州委員会
リスボン条約の発効から2014年10月末までに任命される欧州委員会は、@委員長とA共通外交・安全保障政策の上級代表(同人は欧州委員会副委員長を兼ねる)を含め、B各加盟国の国民一名で構成される(第9d条第4項草案)。2014年11月1日以降は、各国より1名ずつ、メンバーが任命されるわけではなく、総数は加盟国数の3分の2に制限される。なお、欧州理事会は全会一致にてこの人員数を修正しうる(第5項草案)。
欧州委員会委員長候補は、欧州理事会の特定多数決によって指名され(なお、その際、同理事会は欧州議会選挙の結果を考慮しなければならない)、欧州議会の多数決によって選出される(第9d条第7項草案)。
従来通り、欧州委員会には法案の提出権限が与えられているが、リスボン条約発効後、加盟国の議会の半数以上が法案の再検討を要請するときは、委員会はそれに従わなければならない。
共通外交・安全保障政策の上級代表
欧州理事会は、特定多数決にて、共通外交・安全保障政策の上級代表 (欧州委員会の副委員長を兼任)を任命する。同人の任期も欧州理事会によって決定される(第9e条第1項草案)。なお、欧州憲法条約は、EU外相(Union Minister for Foreign Affairs) という新しい役職を設けていたが(第I-28条)、リスボン条約は、これを
共通外交・安全保障政策の上級代表 とし、EU外相という職名を用いていない。
EU市民の請願権
少なくとも100万人のEU市民は、欧州委員会に法案の作成を要請することができる(第8b条第4項草案)。
基本権保護
EU基本権憲章 は法的拘束力を持つともに、EUは 欧州人権条約 を締結する(第6条草案)。
(参照) 欧州憲法条約
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