2. 「3本柱構造」の廃止
また、EUの構造も大きく改められる。従来は、@ 欧州共同体(EC)と欧州原子力共同体、A 共通外交・安全保障政策、および B 刑事に関する警察・司法協力 という 「3本柱構造」 をとり、@ が超国家的共同体であるのに対し、AとBは政府間協力にとどまっていた。政府間協力を実施するのは、EU(EC)ではなく、加盟国政府であり、また、その政策統合の度合いが弱い点で、超国家的共同体とは異なっていた(詳しくは
こちら)。そのため、AとBを@に移すことが課題とされてきた。
リスボン条約の発効によって、この「3本柱構造」は廃止され、1本化された。詳細には、ECを廃止し、諸制度をEUに承継させる(なお、欧州原子力共同体は存続する)(第2条第2項第a号参照)。また、Bの 刑事に関する警察・司法協力 は、従来の政府間協力から超国家的連合(リスボン条約によって廃止されるまでは、超国家的共同体としてのEC)の政策に変わる。他方、Aの共通外交・安全保障政策 も同様に超国家的連合の政策に変わるが、実質的には、政府間協力としての性質を残している。従って、厳密には、リスボン条約によって、EUは従来の「3本柱構造」から「2本柱構造」に改められると捉えるべきである。法律的には、Bに関する規定は、はEU条約から「EUの機能に関する条約」(従来のEC条約)に移されているのに対し、Aに関する規定はEU条約内にも残されている(参照)。また、リスボン条約には、共通外交・安全保障政策は加盟国の外交・安全保障政策に触れるものではないとする特別の定めが盛り込まれている。
前述したように、ECは廃止され、EUに承継されるが、これに伴い、EUには 法人格 が与えられることになった(第47条、第24宣言参照)。なお、欧州原子力共同体(およびその設立条約)は、部分的に改められたが、存続する(リスボン条約附属第2議定書参照)。
3. 機構改革 リスボン条約によって、機構制度も大幅に改められることになったが、その主な概要は以下のとおりである。
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