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EUの司法・内務政策 − 「自由、安全および正義の空間」

〜 リスボン条約体制の概要 〜

   
 1. 「自由、安全および正義の空間」
 2. 国境検査、庇護および移民に関する政策
 3. 民事に関する司法協力 
 4. 刑事に関する司法協力
 5. 警察協力 
 6. EU裁判所の管轄権


 

3. 民事に関する司法協力

 域内市場では人や商品・サービスの移動の自由が保障されているが(くわしくは こちら)、ある加盟国における私法上の権利が他の加盟国では行使・承認されないとすると、移動の自由は害される。そのため、従来より、ECには、複数の加盟国に関わる民事事件(渉外事件)について、加盟国間の司法協力を改善・簡素化する権限が与えられていた(EC条約第65条第a号、その他の権限について、第b号および第c号参照)。この点に関し、これまで特に重視されてきたのは、裁判所や裁判外の紛争解決機関の判断の承認・執行制度を整備することであった。EUの機能に関する条約第81条第1項第1文もこれを承継し、渉外的民事事件に関する司法協力は、裁判所や裁判外の判断の相互承認・執行を原則にすると定める。

 また、新条約は、EUの新しい権原として、以下の案件の確保を挙げている。
 

正義への実効的なアクセス(第81条第2項第e号、第67条第4項参照)

代替的な紛争解決方法の発展(第g号)

裁判官や司法業務担当者に対する教育(再教育)の奨励(第h号)


 さらに、上掲の案件を含む特定の案件に関し、EUには国内法を調整する権限が与えられていることも明記された(第81条第1項第2文)。第2次法は欧州議会と理事会が通常の立法手続に従い制定するが(第81条第2項)、家族法に関する措置については、特別な立法手続が適用される。同手続では、理事会のみが唯一の立法権者であり(その議決は全会一致による)、欧州議会には拘束力の意見を述べる権限しか与えられていない(第81条第3項)。



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刑事に関する警察・司法協力