EEC設立当初、漁業活動について加盟国間に制限は設けられておらず、全ての漁師には全加盟国の領海および内水での操業が許可されていた。つまり、国籍に基づく差別は禁止されていた(EEC条約第7条〔現行EC条約第12条〕参照)。
1982年末まで、加盟国はその基線から12カイリまでの水域(漁業専管水域)の漁業を自国民に留保することができる。ただし、他の加盟国の漁師であれ、伝統的に操業している者の活動は保障される(1972年の加盟議定書第100条~第101条)。
当初、この例外規定の適用期間は10年とし、その後の取扱いはEU理事会によって定められるものとされていたが(1972年の加盟議定書第103条)、例外規定は、さらに10年間(つまり、1992年末まで)適用されることになった。この延長期間中に、EU内最大の漁業国であるスペインとポルトガルがEUに加盟し、規定の見直しは困難となったため、例外規定の適用期間は、さらに10年間、延長されることになったが、その後も更なる延長が決定され、現在に至っている。つまり、2012年末まで例外が認められる(規則2371/2002
第17条第2項参照)。なお、12カイリまでの沿岸国の権限を保障するこの特則は、第3次国連海洋法会議の成果として1982年12月に締結された国連海洋法条約(発効は1994年11月)に合致している。 |