EUの5月は公休日(May Day)で始まるが、5日から14日にかけての10日間は、ヨーロッパ ・ウィークとして、欧州統合をテーマにした様々な催し物が各地で開催される。 今年は市民との対話や討論に重点が置かれているが、2005年5・6月、フランス と オランダ で実施された国民投票で欧州憲法条約の批准が否決されて以来、市民との対話や討論の重要性が再認識されている(Plan D)。
ブリュッセルにあるEU諸機関は、6日(土)、市民に門戸を開放しているが、過去最高の6万以上のゲストが訪れる賑わいとなった(参照)。
5月8日は、第2次世界大戦終戦記念日にあたり(参照)、フランスでは公休日となっているが、翌9日(1950年)、フランスの外相 ロベルト・シューマン(写真右)は、欧州石炭・鉄鋼共同体の設立を提唱し、EC、後のEUへの発展のきっかけを築いた(詳しくは
こちら)。これを記念し、後に5月9日は「ヨーロッパの日」に指定されている。
20周年を迎える今年のヨーロッパの日には、EU理事会議長国 オーストリア のイニシアチブに基づき、27ヶ国の首都で「カフェ」がオープンする。軽食を楽しめるのはもちろんであるが、長時間、居座って本や新聞を読んだり、ディスカッションを交わす社交の場として発展してきたオーストリアの喫茶店
(Kaffeehaus)。その特性を生かし、作家の朗読や政治討論会も予定されている(参照)。
一足先に、7日(月)からは、EU加盟25ヶ国と加盟予定・候補国の国会議員がブリュッセルでEUの将来について討論しているが(参照)、ヨーロッパの日にあたる9日には、現理事会議長国オーストリアの Schüssel 首相 の演説も予定されている。
5月第3週には、60ヶ国の首脳が出席する EU・南米サミットが 開催されるほか(ウィーンにて)、16日、欧州委員会は、ブルガリアとルーマニアのEU加盟に関する報告書を発表する予定である(詳しくは
こちら)。また、月末には、オーストリアの Klosterneuburg (クロースターノイブルク)において、EU加盟国外相は、EU憲法の「将来」について協議する。6月の首脳会議(欧州理事会)を控え、EUの進路を占う重要な協議・決定が相次ぐものと解される。
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