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教 育 の 充 実 化 が 必 須


 2000年3月、EU加盟国首脳は、リスボン戦略 を採択し、将来の経済発展には、学校・職業教育(生涯教育)を充実させる必要があることを確認した。もっとも、その取り組みが弱かったため、2005年3月、加盟国首脳は、GDPの3%を教育・研究開発に投資することを決定するに至った(詳しくは こちら)。しかし、この目標も十分には達成されていないことが指摘されている(詳しくは こちら)。

 経済成長の重要な前提条件として、教育水準の引き上げが注目される中、欧州委員会は、2006年5月16日、EU内の学校・職業教育に関する報告書を発表した。それによれと、大学の理工系学部卒業生は増加しているなど、良い成果が得られている分野もある一方で、小中高の中退者削減や生涯教育の充実化、また、青少年の教育水準の向上といった面では、ほとんど、または全く改善がなされていない。そのため、全体的に状況は芳しくなく、リスボン戦略 の目標値を大きく下回っていると欧州委員会は分析している。


 報告書の主な内容は以下の通りである。


2005年の統計では、18〜24年の青少年の約600万人が学校を卒業していない。その割合を10%以下に抑えるという目標を達成するためには、その数を200万人削減しなければならない。

EU加盟25ヶ国のうち、最も退学者の割合が低いのは、ポーランド(5.5%)、スロバキア(5.8)、チェコ(6.4%)である。

現在、5人の1人の子供(15歳)は文章読解能力が非常に劣る。2010年までに、このような子供の割合を5分の1に減らすという目標を達成するには、まだまだ多くの対策が必要である。現在、最も良い成果を修めている加盟国は、フィンランド(5.7%)、アイルランド(11%)、オランダ(11.5%)である。

理工系の大学卒業生は、現在、75万5000人であるが、増加傾向が継続するならば、2010年には、約100万人に達する。

現在、住民1000人あたり、理工系の卒業生を最も多く輩出している加盟国は、アイルランド(24.2人)、フランス(22.2人)、イギリス(21.0人)である。

ほとんどの大学生は、幼いころから、2つの外国語を学んでいない。2003年の統計では、中学校レベルで教えられている外国語数は、1.3ないし1.6である。

職業従事者の生涯教育(4週間)への参加率を高め、12.5%という目標を達成するためには、さらに400万人の労働者を参加させる必要がある。現在、最も良い成果を挙げている加盟国は、スウェーデン(34.7%)、イギリス(29.1%)、デンマーク(27.6%)である。



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(参照) 欧州委員会のプレス・リリース

在独欧州委員会代表部の公式サイト
 

 



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(2006年5月18日 記)