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欧 州 議 会、E U 拡 大 を 抑 制


 2006年3月16日、欧州議会 は、圧倒的多数の議員の支持の下、Elmer Brok 議員(ドイツ〔写真左下〕)が作成したEU拡大に関する報告書を採択し、第3国の加盟に警鐘をならした。採択に賛成した議員は397人、反対した議員は95人であった。約1年前、議会は、第2次東方拡大 を明瞭に支持するなど(詳しくは こちら)、これまで拡大に好意的であったため、今回の決定は注目されているが、「EUの受け入れ能力」という新しい要件 に照らし、加盟に代わる選択肢についても模索すべきであるとしている(参照)。また、欧州委員会に対し、年末までに、EU拡大の地理的限度(EUの地理的限界)を明確にするよう求めている。なお、オーストリアの日刊紙 Der Standard の問い合わせに対し、Rehn 委員 (EU拡大担当)のスポークマンは、Rehn 委員は議会の要請を好意的に受け取めてはいないと答えている。また、第3国に対し門戸を恒常的に閉ざすのは望ましくないと述べている(参照)。2006年3月、Rehn 委員自身も、かつて Delors 委員長はオーストリアやフィンランどの加盟を拒絶し、欧州経済地域への加盟という代替案について検討していたが、このような誤りは繰り返すべきではないと発言している。また、トルコやクロアチアの加盟が想定されていなければ、Pamuk 氏が刑罰の執行を免れ(詳しくは こちら)、また、Gotovina 容疑者が国際刑事裁判所に送還されることはなかったであろうとし(詳しくは こちら)、EU加盟が候補国の制度改正に与える影響の重要性を指摘している(参照)。

Elmer Brok 欧州議員

 報告書を作成した Brok 議員(CSU〔写真左〕)は、欧州議会の外交政策部会長を務める保守派の議員であるが、地理的限界を含めたEUの特徴は、「EUの受け入れ能力」という新しい要件 の解釈に際し、重要であるとみている。また、欧州憲法条約の批准が滞っている現状を考慮すると、新要件が満たされているとは言えないとしている(参照)。なお、このような懐疑的態度は、フランスオランダ で欧州憲法条約の批准が否決される前より、固まっていたとされる。また、2006年3月上旬、加盟国外相が西バルカン半島諸国に対しても統合のビジョンを示したことを警戒している(参照)。



(参照)

Die Presse v. 17. 3. 2006 ("Erweiterung: EU-Parlament beschloss Betrittsbremse")

Die Presse v. 16. 3. 2006 ("EU: Parlament drückt auf die Bremse") Der Standard v. 16. 3. 2006 ("Streit um "geographische EU-Grenze")

Die Presse v. 23. 3. 2006 ("Rehn gegen Alternative zu EU-Beitritt")


加盟協定の締結


写真提供: © European Community, 2006



(2006年3月17日 記 4月23日 更新)


  
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